日本の消費者は欧州と違う、循環型経済に日本企業はどうすべきか
CHANGING NEEDS
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<「儲かるエコ」へと、経済の大変革が始まった。地方創生にもつながり得るサーキュラー・エコノミーに日本は乗り遅れるな。本誌10/10発売号「『儲かるエコ』の新潮流 サーキュラー・エコノミー」特集より>
※本誌10/16号(10/10発売)は「『儲かるエコ』の新潮流 サーキュラー・エコノミー」特集。企業は儲かり、国家財政は潤い、地球は救われる――。「サーキュラー・エコノミー」とは何か、どの程度の具体性と実力があるのか、そして既に取り組まれている20のビジネス・アイデアとは?
サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の進展は日本企業にとってどのような意味を持つのか。コンサルティング会社、アクセンチュアの海老原城一マネジング・ディレクター(サステナビリティ日本統括)に話を聞いた。
資源の消費をできるだけ減らすという観点と、儲かるビジネスモデルの結節点がサーキュラー・エコノミーだ。企業が新たな優位性を生み出し勝ち残るための戦略であり、環境政策を経済モデルに昇華させたものだ。
かつては大量生産によって、資源高を製品価格へ転嫁することを抑えてきたが、資源価格が高騰するなか、2000年以降の日本の数値からはその限界が見えている。「売って終わり」ではなく、再生・再利用し続けることで価値を最大限に引き出すサーキュラー・エコノミーが求められている。
日本でその牽引力となっているのは、欧州で顕著な環境保護の意識というより、消費者の思考や行動の変化だ。店に並んだ商品の中から選択する「従順な購買」から事前にネットなどで欲しい物を調査する「わがままな購買」へ、そして現在は「わがままな利用」へと消費行動が変わってきている。必要なときに使うことができれば買わなくてもいい。人々は物の所有より、利用したときの「成果」に敏感になっている。
日本が強みとしてきたモノづくりでは、優れた製品を作ることが競合との差別化要素だった。だが消費者が使いたいときだけサービスを提供する形になれば、求められる品質も変わる。例えば車1台当たりの稼働率が上がればより耐久性が求められ、逆に一利用者が短時間乗るだけならシートの座り心地は少し下がってもいいかもしれない。
地方創生にもつながり得る
難しいのは従来型のビジネスモデルで成功している会社ほど、サーキュラー・エコノミーでは既存の事業計画との齟齬が生じること。シェアリングが進めば車の販売数は減り、例えば100台売れていたものが20台になる可能性もある。その代わり、ニーズが変わらなければ売れた車の稼働率は5倍になるので、点検・整備などを含めた売り上げのタネは出てくるだろう。
大企業よりスタートアップのほうがそうした市場に入っていきやすいことは確かで、フリマアプリのメルカリやカーシェアアプリのエニカなどは典型的なシェアリングの成功事例だろう。