インドネシアでキリスト教の教会を突然閉鎖 大統領選控え宗教問題顕在化の恐れ
行政当局の係官が教会を封鎖した Hiburan HERO / YouTube
<多文化主義を標榜するインドネシアだが、来春投票を迎える大統領選が始まってからは圧倒的多数のイスラム教を優先するような事案が発生している>
インドネシア・スマトラ島のジャンビ州で9月27日、キリスト教プロテスタントのメソジスト教会が地方行政機関によって閉鎖に追い込まれた。周辺の非キリスト教徒住民からの要求に基づく処置といわれ、同教会の信者らはショックを受けている。
インドネシアは2019年4月の大統領選挙に向けて9月23日から約7カ月という長期間の選挙運動が正式にスタートしたばかり。選挙の争点に一つである宗教問題が早くも顕在化したもので、今後インドネシアで「宗教が問題化する」のは確実との懸念が高まっている。
ジャンビ州のコタバル市リンカル・バラット通りにあるメソジスト教会が9月27日、地元行政当局の係官によって封鎖され「閉鎖」に追い込まれた。今後この教会で宗教行事、集会などを行うことが禁止された。
同教会の信者団体関係者は「ここで18年間祈りを捧げてきた。なぜ突然の閉鎖なのかわからずショックを受けている」と地元メディアに話した。
当局「無許可施設と周辺住民が苦情」
教会を封鎖した地元行政当局によると、同教会は宗教施設としての許可を得ておらず、長年無許可施設としてキリスト教の宗教活動が行われていたという。
そこに「周辺住民からの無許可施設であるとの苦情が高まっていた」ことがこのタイミングでの封鎖と説明しているという。
だが教会関係者によると、同教会所属のキリスト教徒の住民は周辺のイスラム教徒住民と特に問題も混乱もこれまでなく、「仲良くやってきた。地域の住民の行事にも積極的に参加して良好な関係を築いていきた」として突然の強制措置に不満と戸惑いを表している。
コタバル市には同教会を含めて3か所の教会があるがいずれの教会に対しても周辺住民だとするイスラム教徒が閉鎖を求める運動が起きており、9月27日の封鎖前には「3教会の閉鎖を求める1000人集会をモスク(イスラム教の宗教施設)で開催する」と呼びかける文書が配布されていたという。