静かな空間を切り裂く悲鳴! VRで未来の映画館を体験させた釜山国際映画祭
世界の映画界が期待を寄せるVR
実はVRに関しては釜山国際映画祭以外にも、世界の映画祭が関心を示しており、三大映画祭の一つヴェネツィア国際映画祭では2017年からバーチャル・リアリティ部門(Venice VR Competition)が新設されている。2018年には日本からも「Best of VR」(公開済みのためコンペ対象外だが優れたVR作品に選ばれる)に『攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver』『結婚指輪物語VR』の2作が選ばれ話題となった。また2018年からは北京国際映画祭でもVR映画を対象とした部門が新設されている。日本国内では、国際短編映画祭 SSFF & ASIA 2018にて「VR SHORTS」部門が誕生。また、日本で唯一4K・8K・VR映像に特化した作品のみ上映される4K・VR徳島映画祭も2017年から開催されている。このように世界中が映画の新しい表現手法としてVRに注目を集めているのだ。
こういった流れを受けて、韓国の大手通信会社KTは、(株)バルンソンと韓国仮想拡張現実産業協会と共に7月よりVR映画公募展を開催した。韓国仮想拡張現実産業協会とは、VRとAR(Augmented Reality=拡張現実)産業を主にした会社らが集まった協会である。この公募の優勝者には賞金総額1億ウォン(日本円で約1,000万円)が授与される。KTは自社のモバイルサービスとの連動でVRコンテンツに期待を寄せ、今後充実させていきたい考えのようだ。
VRはこれから映画界でさらに浸透していくだろう。しかし、現在制作されているVR映画作品を見てみるとホラーやスリラー系、アクション系の映画が多く、ジャンルが限られているのがネックだと言える。今後広がりを見せるためには、特定のジャンルの映画ばかりでは行き詰ってしまうのではないだろうか。
裏を返せば、まだまだ伸びしろが広く、今後もっと幅を広げてチャレンジしていける面白い分野である。激しいアクションやホラー映画が苦手なお年寄りも楽しめるVR映画や、アニメだけではない子供用VRがもっとたくさん出てくれば、もっとこの新しい表現手法も定着していくのではないだろうか。VRの特性を生かせる映画のジャンルが開拓され、そのための人材発掘が進むことを期待したい。
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