最新記事

災害

関西空港、露呈した巨大欠点 「国際空港」として最悪レベルの情報発信

2018年9月12日(水)07時00分
さかい もとみ(在英ジャーナリスト)*東洋経済オンラインより転載

関空の第1ターミナルに留め置かれた3機の全日空機。エンジン等に海水が入り、補修が必要なのだという(写真:traicy後藤卓也氏)

台風21号による想定外の高潮で大きな被害を受けた関西国際空港。すでに一部の便の運航が再開しているが、完全復旧にはまだまだ時間がかかりそうだ。目下、空港の運営会社は、9月14日頃とされる第1ターミナルの暫定運用開始に向け、「着実に前進中」と説明している。

今回の被害により、順調に増加してきた、いわゆるインバウンド需要にブレーキがかかることも危惧されている。地域経済へのダメージを最小限に抑えるためには一刻も早い復旧が求められるが、なお連絡橋の改修など多くの課題が残っている。ハードだけではなく、ソフト面でも課題が山積している。情報発信の面で、「国際空港としてやるべきこと」ができていないのだ。

初動の情報発信に難点

台風21号は9月4日の日中、関西圏を襲った。それ以後、関空を取り巻くさまざまな被害が明るみに出る中、世界各地の空港では「KIX(航空業界で使う、関空を示す3レターコード)へどうやって乗客を飛ばすか?」で頭を悩ます事態が続発した。

「『とりあえず明日の再開はない』ってどういうことなの? 滑走路や駐機場は水浸し、空港への橋も破損しているのに、明後日になってどうやって使えるようになるわけ?」

9月5日、筆者はロンドン・ヒースロー空港にある欧州系航空会社のカウンターに行って、旧知の職員に関空行き旅客の取り扱いについて尋ねてみたところ、こんな言葉が返ってきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中