比ドゥテルテ、イスラエルで過去の暴言を謝罪 武器と石油が取り持つ「怪しい同盟」
レイプは女性が美人だから?
こうして過去の問題発言を謝罪したドゥテルテ大統領だが、中東に出発する直前の8月30日には「ダバオ市ではレイプ事件が多い。美人がいる限りレイプ事件は起きる」と発言した。これは2018年の第2四半期でダバオでのレイプ事件発生がフィリピン国内で最も多かったことを受けた発言だった。
この「美人=レイプ」という趣旨の発言にはすぐにフィリピン国内から反論が噴出した。女性団体からは「女性を貶める発言で大統領としてふさわしくない」と大統領の資質に疑問を示した。女性のレニー・ロブレド副大統領も9月3日、ケソンでの記者会見で「レイプは美人がいるからではなく、性犯罪者がいるから起きるのである。私は女性だからではなく人間としてこの発言は大きな間違いでああり、冗談ではすまされないと考える」と大統領発言を厳しく非難した。
この発言がフィリピン国内で問題となっていることを受けてドゥテルテ大統領は9月3日(フィリピン時間では9月4日)、イスラエルで「レイプに関するジョークは表現の自由を試しただけである。事実としてダバオではレイプ事件は多く発生しており、また美人も多い。美人が全員レイプ被害者だなどとは言っていない。報道に惑わされるな」と強気の姿勢を貫き、訂正や反省は一切しなかった。
これについて、ドゥテルテ大統領の娘でダバオ市のサラ・ドゥテルテ市長は9月4日、「大統領を批判する人たちはユーモアというものをわかっていない」と大統領発言を擁護した。
大統領法律顧問のパネロ氏も「大統領の批判者がから騒ぎしてあれこれと詮索しているだけである」と大統領発言に問題がないとの立場を示し、その上でダバオ市では女性に対して雇用機会を与えているなどと「援護射撃」した。
大統領府も「大統領独特のジョークであり、深刻に受け止めるべきではない」と発表、火消しに躍起となるなど久々の「ドゥテルテ節」の炸裂に関係者は忙しい対応を余儀なくされている。