比ドゥテルテ、イスラエルで過去の暴言を謝罪 武器と石油が取り持つ「怪しい同盟」
現地メディアに「怪しい同盟」と批判されたドゥテルテ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相 Ronen Zvulun-REUTERS
<国内では相変わらずの問題発言を繰り返すフィリピン大統領だが、初のイスラエル訪問では過去の暴言を謝罪するなど低姿勢。その背景とは?>
9月2日からイスラエル、ヨルダンと中東を訪問しているフィリピンのドゥテルテ大統領は、イスラエルでかつての「ヒトラー発言」について謝罪するとともに「売春婦の息子」呼ばわりしたオバマ米前大統領にもお詫びの気持ちを表明した。
問題発言やセクハラまがいの言動で話題を内外に振りまいてきたドゥテルテ大統領だけに、「殊勝な心掛け」「心を入れ替えたのか」と"失望"する向きもあったが、一方では中東訪問前に起こした女性蔑視発言がフィリピン国内で大きな物議を醸しており、相変わらず「ドゥテルテ節」は健在のようだ。
今回の訪問はイスラエルのネタニヤフ首相、ヨルダンのアブドラ国王の招待によるもので、フィリピン大統領がイスラエルを訪れるのは1957年の両国国交樹立以来、初めてのことだ。イスラエルには約28,000人、ヨルダンには約48,000人のフィリピン人出稼ぎ労働者がいることも訪問の理由とされている。
ヒトラーは狂人、オバマは一般人
ドゥテルテ大統領は9月3日、エルサレムにあるユダヤ人虐殺(ホロコースト)記念館「ヤド・バシェーム」を訪問して献花し「ひとりの狂人に一国が従ってしまうなど信じられないことだ。こうしたこと(ホロコースト)は二度と起こしてはならない」と述べ、ヒトラーを批判した。
実はドゥテルテ大統領は2016年の演説で、ヒトラーのユダヤ人虐殺を引き合いに出して「ヒトラーはユダヤ人を300万人殺害した。フィリピンには300万人の麻薬中毒者がおり、私も喜んで殺したい」と発言。国連、イスラエル、ドイツをはじめとした国際社会から一斉に批判を受けて、後に謝罪に追いこまれたという経緯がある。
参考記事:比ドゥテルテ大統領「オバマ地獄に落ちろ」
また出稼ぎフィリピン人との会合では、かつて麻薬犯罪事案へのドゥテルテ大統領の政策を批判したオバマ前大統領を「売春婦の息子、地獄に落ちろ」などと罵ったことについても触れ、「失礼な人であることには変わりないが、今は一般人であり、そうした言葉を使って申し訳なかった。許してほしい」と謝罪、珍しく殊勝な姿勢を示した。