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食英国の食肉サンプル検査、5分の1で表示外の動物のDNAが検出された
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5分の1で食品表示外のDNAが検出 iStock-alexxx1981
<2017年にイギリスで実施した食肉サンプル検査で、5分の1が明示されていない動物のDNAが検出されていたことがわかった...>
英国食品基準庁(FSA)が2017年に実施した食肉サンプル検査のうちの21.8%において、食品表示に明記されていない動物のDNAが検出された。
これは、英国情報公開法(FOIA)に基づくBBC(英国放送協会)からFSAへの情報公開請求によって明らかとなったもの。
ラム肉で最も多い77件が見つかった
FSAがイングランド、ウェールズ、北アイルランドのレストランからスーパーマーケットなどの事業者487社から合わせて665の検体を収集したところ、145の検体の全部もしくは一部が食品表示で明示されていない肉で形成されていた。業種別にみると、小売業者によるものが73件と最も多く、このほか飲食店から50件、食品加工業者からも22件見つかっている。
肉の種類別では、ラム肉が最も多い77件で、29件の牛肉、19件のヤギ肉、18件の豚肉がこれに続き、なかには4種類もの肉で形成されたものもあった。一方、形態別では、挽肉が41件と最も多く、ケバブやカレー、ソーセージなどでも見つかっている。
FSAではコンプライアンス違反が疑われるこれらの事業者をターゲットに食肉サンプル検査を実施したものの、FSAの検査結果を受けて、さらに個別の調査を実施し、告発などの措置を講じるかどうかは、管轄する地方自治体に委ねられている。
また、食料および飼料のサンプル分析データを蓄積するFSAのデータベース「UKFSSC」に食肉のサンプルデータを登録している英国内の地方自治体は半数にも満たず、フード業界の全容を明確に把握できる状態には至っていないのが現状だ。
食品偽装は、長年、世界各地で問題に
高価な食肉を安価なものにすり替える食品偽装は、長年、世界各地で問題となっており、英国をはじめとする欧州では、2013年、牛肉と偽って馬肉を混入させた加工食品が次々と見つかった「ホースミートスキャンダル」が大きな社会問題となった。今回明らかとなった2017年の食肉サンプル検査において馬肉は検出されていないが、食肉の品質や原産地にまつわる透明性の欠如に対して懸念が広がっている。
食肉のトレーサビリティ(追跡可能性)を担保する仕組みづくりとしては、英国の環境食糧農村地域省(DEFRA)が、食肉加工協会(BMPA)や農業園芸開発公社(AHDB)ら21の組織との提携のもと、電子IDを使って家畜をリアルタイムで追跡する「家畜情報サービス」の構築に2014年から取り組んでおり、2019年には完成する見込みだ。消費者の健康を守るうえでも、食肉の透明性の確保やトレーサビリティの担保がますます望まれる。