貿易戦争が米企業に迫る「メイド・イン・チャイナ」再考 米国工場の方が低コスト?
脅かされるサプライチェーン
トランプ米大統領が、中国製品に対して追加的な関税発動を脅していることもあり、報復的な貿易戦争の拡大は、深く絡み合い、グローバル化したサプライチェーンに甚大な影響を与える可能性がある。
直接的な打撃を受ける企業もある。
米ジョージア州を拠点とする農業機械メーカーAGCOは、米通商代表部(USTR)に対し、江蘇州常州市で製造している農業器具が、関税措置により米国で「価格競争力を失う」と警告した。
化学メーカーのマルーン・グループも、「価格面で市場から追いやられる」と警鐘を鳴らす。米ヒューストンで中国製部品を使ってエアコンを組み立てているグッドマン・グローバルも同様の悩みを抱える。
すでに対策に動いた企業もある。アットホーム・グループやRHといった米家具メーカーは、中国生産を減らすことを明らかにした。
サプライチェーンの調整で対応しようと試みている企業もある。蘭栄養食品ロイヤル傘下のDSMチャイナは、中国政府による報復関税を避けるため、原料となる米国産大豆をえんどう豆パウダーなどに置き換えられないか、検討している。
貿易摩擦リスクが高まったことで、「ビジネス全体の見方を再確認するよい機会となった」と、DSMチャイナでグローバル戦略マーケティング責任者を務めるバーナード・チュン氏は語る。
また、サプライチェーンのどこに位置しているかによっても、対応は変わってくる。
米GMMノンスティック・コーティングスは、中国において、米調理器具メーカーのジョージ・フォアマンやベイカーズ・シークレットなどからの製品コーティング用薬品受注が3─4割減少したことを受け、一部の生産をインドに移した。
これらの顧客は、生産の一部を中国から移転しているという。
「この関税騒ぎで、中国に拠点を持つことに対する圧力が一層高まり、米国企業の調達部門が(生産移転を)極めて容易に決断できるようになっている」と、GMMのラビン・ガンジー最高経営責任者(CEO)は語る。