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環境問題フロリダの科学者が赤潮の浄化に成功?
Florida Scientists Test Machine to Fight Toxic Red Tide
日本の横須賀市で発生した赤潮 y-studio/iStock.
<過去10年で最悪の赤潮に苦しむフロリダ州で、地元の科学者たちが開発した装置への期待が高まっている>
米フロリダ州が、赤潮の大発生に苦しんでいる。過去10年で最悪の赤潮が海面を覆い、地元の漁業や観光に打撃を与え、海洋生物の大量死を引き起こしている。
赤潮は、プランクトンの大量発生で海が変色する現象。プランクトンの種類により色は赤とは限らない。フロリダでは昨年から、史上最長といわれる赤潮が続いている。死んだ魚ばかりか、数日間だけの普通の赤潮なら耐えられるマナティやイルカなど大型哺乳類の死骸までが打ち上がる。浜辺には悪臭がたちこめ、ビーチには人っ子ひとりいない。そんなフロリダを救うため、地元フロリダの科学者が、赤潮退治の方法を開発した。
(フロリダの赤潮。浮いているのは死んだウナギや魚)Scientists testing new solution to fight Florida's toxic red tide https://t.co/2omINR4SbL pic.twitter.com/3HQWviHczs
— CBS News (@CBSNews) 2018年8月20日
ELECTIONS HAVE CONSEQUENCES!
— Maxwell (@TheRealFrost_) 2018年8月19日
This years red tide is bigger and has lasted longer than the past years because of the recklessness of Rick Scott. His major budget cuts of environmental programs in Florida have led to mass pollution in our oceans. Register to vote. Then vote. pic.twitter.com/ojhEO6ZJnv
(同。マナティの死骸)
フロリダの赤潮が海域250キロにも及び170カ所のビーチを閉鎖。魚、カメ、マナティ、クジラ、サメなどが大量死している。人にも咳がとまらないなどの呼吸器系の影響。昨年のスーパーハリケーンによって、内地の汚染物質が海に流れ込んだことが主な原因か。@CNNI https://t.co/WRYkzm6PHR
— plum (@plum0909) 2018年8月17日
(同。大量死)
同州サラソタ郡のモート・マリン研究所が開発したその装置、「オゾン・トリートメント・システム」を使えば、2017年10月の大量発生以降、同州に多大な被害をもたらしてきた赤潮の原因となる有毒な微生物を除去することが可能になるかもしれないのだ。米CBSニュースが8月18日に報じた。
まず、赤潮の被害を受けた汚染水を吸い上げる。次にオゾンを注入し、毒を放出する微生物を殺す。最後に、浄化された水を海に排出する。毎分約1135リットルの処理能力がある。ただしオゾンには毒性があるので、浄化以外の用途で外に漏れないよう管理を徹底する必要がある。
「これで赤潮も、毒も、異常発生で海を汚染する過剰な微生物も除去できる」、と装置を開発したモート・マリン研究所のリチャード・ピアス博士は言う。
別の地域でもきっと応用できる
科学者たちは今年6月、この装置を使った初の実験を行い、プールの水から赤潮を取り除くことに成功した。さらに8月17日までの1週間、フロリダ州南部ボカグランデにある運河で行った実験も成功したことから、赤潮被害を受けた州内の別の地域でも必ず応用できる、と研究チームは確信する。
採取したサンプルの分析結果は今週中に公表できる予定だと言う。
装置が公開されるわずか数日前の8月13日、フロリダ州のリック・スコット知事は7つの郡に赤潮の非常事態宣言を出した。対象はシャーロット郡、コリアー郡、ヒルズボロ郡、リー郡、マナティ郡、ピネラス郡、サラソタ郡だ。
観光エリアにあたる地元のビーチでは、今年8月だけで120万トン以上の魚や海洋生物の死骸が回収された。
(翻訳:河原里香)