済州島に逃れてきた一握りのイエメン難民にヒステリーを起こす韓国人
South Korea Is Going Crazy Over a Handful of Refugees
権威主義的な朴槿恵前大統領に対する国民の反発が生んだリベラルな文在寅政権の対応が案外保守的なものだったことには、落胆もあるだろう。だが文政権が少なくとも部分的にでも反難民感情に迎合した理由は、各種世論調査を見れば明らかだ。この問題が文政権の支持基盤である若い有権者や女性、中流階級に影響を及ぼしているからだ。
市場調査会社ハンコック・リサーチの最近の調査では、回答者の56%がイエメン難民の受け入れに反対を表明。受け入れを支持すると回答した者はわずか24%だった。
受け入れに特に強く反対したのは女性(男性51%に対し女性61%)で、年齢層別では20代(70%)と30代(66%)、さらに中間所得層(62%)の間に、難民受け入れに対する反対意見が最も多く見られた。
女性と若者と富裕層というのは一般に、移民や難民に対してより寛大な層であることを考えると、驚きの結果だ。だが韓国の社会には、進歩主義的な原理原則とイスラモフォビア(イスラム恐怖症)の醜悪な融合がはびこっている。たとえば、世界的な「#MeToo」運動に刺激を受けて活動を活発化させている韓国のフェミニストたちなら、同じ弱者である難民たちに手を差し伸べてもよさそうなものだ。だが現実には、真偽の入り混じったヨーロッパの報道を真に受けて、イスラム教徒の難民はレイプ魔だと吹聴して誤ったイメージを助長しているのだ。
反難民を掲げるハッシュタグがトレンド入り
7月後半から8月初旬にかけて、韓国語のツイッターでは「#済州島で行方不明になった女性たち」というハッシュタグがトレンドに入った。過去2カ月で6人の女性が済州島で遺体で発見された事件について、難民の仕業だとするものだ。
5000回以上リツイートされたある投稿には、次のように書かれている。「済州島の住民として、私は心配している。学校の隣にある図書館に、彼ら(難民たち)が女性を殺すというメモがあった。私の周りには難民と中国人ばかり。わずか2カ月で6人の女性が遺体で発見されている」
政治的指向で分類すれば、各種世論調査で難民受け入れに反対する割合が最も少なかったのは、進歩主義を自認する者たち(49%)だった(これに対して中道派は60%、保守派は61%)。だが北朝鮮との和平を追求しつつ、国内で多岐にわたる経済政策を施行するための幅広い支持を必要としている文政権にとって、自らの支持基盤を失うことは避けたい。
韓国社会に人種差別や外国人嫌いの風潮があることは明らかだ。だがそれだけでは、イエメン難民に最も激しく反発しているのが同国の最も見聞の広い、最も教養ある層であるという事実に説明がつかないのもまた事実だ。
(翻訳:森美歩)
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