夏バテ予防で食される韓国の犬肉 賛否渦巻いて、鶏肉の消費が拡大
賛否渦巻く韓国の犬食 Kim Hong-Ji-REUTERS
<夏の最も暑い時期の「三伏」の日に消費されている韓国の犬食。ここへ来て、賛否が渦巻いている>
韓国の動物保護団体が2018年7月27日、犬肉に関する調査結果を発表した。対象となった19歳以上男女1006人のうち、犬肉を食べたことがない人は47.5%で、過去に食べたことがある人は39.4%、最近も食べている人は13.0%だった。女性と30代以下は半数以上が食べたことがないと回答したが、男性と50代以上は食べたことがある人の割合が高かった。自発的に食べた人は24.3%で、周囲の勧誘で食したという人が多かった。
自発的に食べない理由は、ペットとして認識しているが42.5%で最も多く、非人間的な取り扱いと屠殺の懸念が24.0%、衛生への懸念が10.5%の順だった。回答者の70.2%が今後は食べないとしており、性別で見ると女性の84.0%、男性の56.1%が今後は食べないと回答している。
犬肉を摂取する人は、健康に良い・栄養食が38%で最も多く、ひとつの食べ物として食す人が10.1%で、おいしいからという回答は9.4%だった。
さらに4人に3人が周囲の勧誘で犬肉を食したという結果を受け、動物保護団体の関係者は、犬肉を強要する文化を根絶しなければならないと述べている。
賛否が渦巻く犬食
そもそも犬肉は多くが夏の最も暑い時期の「三伏」の日に消費されている。夏至を過ぎた3回目の庚の日を「初伏」、4回目を「中伏」、立秋後の最初の庚を「末伏」といい、3回の伏日を合わせて「三伏」という。伏日は鶏に韓方薬の材料やもち米を詰めて煮込む参鶏湯を食べる日として知られるが、犬肉スープの補身湯を食す人も少なくない。
初伏を2日後に控えた7月15日、ソウル光化門広場に隣接する世宗文化会館前で動物保護団体が「犬・猫屠殺禁止のための国民大行動」を行なった。主催者推計で約600人が参加し、犬・猫の虐殺禁止法の制定や不法屠殺の処罰を訴えた。
犬を食用にしている国は、中国、ベトナム、北朝鮮と韓国だが、農場があるのは韓国だけで、また文在寅政権発足後の1年間に大統領府に提出された苦情のなかで犬や猫など愛玩動物の食用反対が1027件で最も多いとして、政府の対応を求める声明を出している。
同じ日に犬食賛成派も光化門広場に近い東和免税店前で動物保護団体を批判する集会を開いている。「犬が優先か、人が優先だ」などのプラカードを持ち、動物保護団体は犬の繁殖農家の生存権を脅かしていると主張した。
賛成派集会の参加者が光化門広場への移動を試みたが、警察官の静止で大きな摩擦は起こらなかった。両団体の衝突を防ぐため、240人の警察官が投入されていた。