中国カフェ戦争、スタバに挑む急成長の配達重視「中華珈琲」チェーン
ラッキンの顧客は、アプリを使ってコーヒーを注文し、そのコーヒーが入れられる様子をライブ映像で確認し、自宅玄関まで平均18分で配達してもらえると、会社側は説明している。
レギュラーサイズのラテは、スタバのグランデサイズとほぼ同じ大きさで、価格は24元(約390円)。配達にさらに6元かかる。ただ、35元以上の注文で配達が無料になるほか、割引を使えば半額になる。スタバのグランデサイズのラテは、31元だ。
半数以上のラッキン店舗は、広いリラックスできる造りの店舗か、数席のみの持ち帰り主体の店舗で、残りは配達専門だ。
ラッキンの成長速度は目覚ましい。スタバは、同数の店舗を構えるようになるまでに約12年かかったが、ラッキンの成長過程は、配車サービス会社、滴滴出行(ディディ・チューシン)のように、市場を掌握するために資金をつぎ込み、結果として高評価を得るようになったテクノロジー企業の成長過程に相通じるものがある。
前職は配車サービスUcarの最高執行責任者(COO)だった銭CEOは、現段階でのラッキンの重点は、顧客獲得にあると話す。
「利益目標のタイムラインは持っていない」
北京の本社でその日3杯目のコーヒーをすすりながら、彼女はロイター記者に話した。
「私たちがいま気にしているのは、顧客の数、リピートしてくれているかどうか、ブランドが認知されているかどうか、そしてシェアを広げられるかどうかだ」
同社は今月、GICからの金額非公開の融資を含め、事業拡張資金2億ドル(約220億円)を獲得した。GICは、同社の企業価値を10億ドルと評価したという。
「将来は、スターバックスよりも多くの店舗を持つだろう」と、銭氏は宣言した。
今月の資金調達に参加した投資家の1人は、中国コーヒー業界に地殻変動が起きても不思議はないタイミングだと話す。
「国の消費レベルが上がるなか、このビジネスモデルは若い顧客に受けるだろう」と、プライベートエクィティ投資会社ウォーバーグ・ピンカス・パシフィックの前ヘッドを務めたデービッド・リー氏は言う。同氏は、自分が立ち上げた投資会社センチュリウム・キャピタルでラッキンの資金調達ラウンドを主導した。
オンライン注文や配達の仕組みだけを見ても、他のブランドを浮き足立たせるのに十分だと、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで、上海に拠点を置くブルーノ・ラネス氏は言う。
「大きな脅威だ。西側のブランドも関心を払うべきだ」と、ラネス氏は付け加えた。