プラスチック製ストローの廃止でスタバの客が支払う代償
Starbucks’ Plastic Straw Ban
プラスチック製ストローは全廃され、直接飲める新しいふたに置き換わる Mark Makela-REUTERS
<容器から直接飲むと酸と糖分が歯に当たり知覚過敏や虫歯のリスクが高まる恐れが>
ちりも積もれば山となる。その格好の例がプラスチック製のストローだ。
最近の推定によれば、世界中の海岸に行き着いたプラスチック製ストローは約83億本。この状況を改善しようと、米ワシントン州シアトルでは7月1日、飲食店などでのプラスチック製のストローやフォークなどの使用を禁止する条例が施行された。
こうした動きに素早く反応したのが、シア卜ルに本社を構えるスタバことスターバックスだ。同社は7月9日、世界中にある2万8000の全店舗でプラスチック製ストローを20年までに全廃すると発表した。代わりにストローなしで飲める新タイプのふたを段階的に導入するという(北米では一部導入済み)。
スタバによると、この新しいふたは「親指大のティアドロップ型飲み口」が特徴で、ストローと違ってリサイクル可能。今後1年半以内に、フラペチーノを除く全てのコールドドリンク容器でこのふたが標準になる。
スタバの推定では、これで年間10億本以上のストローを減らせるらしい。プラスチック製ストロー追放の波は他の企業にも広まっていて、マクドナルドはイギリスとアイルランドの店舗で段階的に廃止すると発表した。
スタバの発表に環境保護派は大喜びだろうが、毎日飲むコーヒーから白い歯を守る唯一の道具が消滅するとして恐れおののく人もいる。
ハーバード大学歯科大学院のニサーグ・A・パテルによると、その恐怖に根拠がないわけではない。「ストローを使って飲むのと容器から直接飲むのとを比べたら、(後者のほうが)多くの酸と糖に歯がさらされるはずなので、ダメージを受けるリスクが大きい」
このダメージは美的なものだけではない。酸と糖質が多い食べ物や飲料(つまりスタバのメニューのほとんど全て)は、歯を駄目にする細菌が繁殖しやすい環境をつくり出し、歯のエナメル質を溶かして知覚過敏を引き起こすことがある。
気になる人はうがいを
パテルによると、興味深い研究論文が98年の英国歯科ジャーナルに掲載されている。研究者は歯の表面に当たる飲料の分量を調べるためにビデオカメラで撮影を行い、飲料を容器から飲む場合とストローを使って飲む場合とを比較した。その結果、ストローのほうが飲料に接触する歯の表面積を効果的に減らせることが分かったという。