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インドネシアのバリ、ロンボクでM7の地震 死者82人、津波避難のパニックも

2018年8月6日(月)12時20分
大塚智彦(PanAsiaNews)


地震に襲われたバリ、ロンボクの様子を伝える現地メディア KOMPASTV / YouTube

地震、津波警報で住民に広がる不安

インドネシアは140以上の活火山がある世界有数の火山国であり、地震国でもある。2004年12月26日に発生したマグニチュード9.3のスマトラ島沖地震・津波ではタイやスリランカ、インドネシアなどで総計22万人が死亡。インドネシアだけでもスマトラ島北端のアチェ特別州で約16万8000人が犠牲になる大惨事を経験している。

犠牲者の多くは地震発生後の津波によるもので、以来インドネシア人の中に「地震が来たら津波警戒」が刷り込まれており、今回の地震でも気象庁による「津波警報発令」を受けてバリ島、ロンボク島の海岸付近からはバイクや車で内陸部に避難する人びとが相次いだという。

地震発生直後にはロンボク島やバリ島のショッピングモールなどで日曜日の買い物を楽しんでいた市民や観光客が階段やエスカレーターを駆け下りて屋外に逃げる様子がソーシャルネットワークの動画サイトにアップされ、それを民放テレビ局が放送し続けた。

5日の地震は震源が約10キロと浅かったことから余震も20回以上発生しており、多くの市民が家屋やビルの倒壊を恐れて屋外で不安な夜を過ごした。

特に被害の大きかったロンボク島の医療機関は停電や病棟倒壊の懸念から入院患者をベッドごと屋外に避難させ、別の医療機関に移送するなど深夜まで混乱が続いた。

ロンボク島は7月29日の地震に続く今回の地震発生で住民の間には大きな不安が広がっている。特にスマトラ沖地震に伴って発生した大規模な津波の生々しい映像の記憶はインドネシア人の脳裏に鮮明に刻まれていたことが影響しているようだ。「今回の津波は最大でも約50cm」との予想にも関わらず、避難パニックが一部で起きたことは今後の地震・津波対策の課題となるだろう。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

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