広がらぬ日本の外国人雇用 単純労働は企業の6割超が消極的
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8月20日、8月ロイター企業調査によると、人手不足が深刻化するなか、外国人労働者を受け入れている企業の割合は昨年3月からそれほど拡大していない。写真は群馬県内で2015年4月撮影(2018年 ロイターYuya Shino)
8月ロイター企業調査によると、人手不足が深刻化するなか、外国人労働者を受け入れている企業の割合は昨年3月からそれほど拡大していない。
機械化が進み単純労働がなくなりつつあるほか、企業側はより高度な人材を求める傾向にある。単純労働者としての受け入れは、教育、生活支援などのコストや時間がかかる一方で、一時的な戦力にしかならず、消極的な企業が6割超を占めた。
この調査は、8月1日から14日にかけて実施。資本金10億円以上の中堅・大企業483社に調査票を送付。回答社数は250社程度。
期限つき単純労働者の需要少なく、定住移民受け入れは賛成6割
政府は、人手不足が深刻化している状況を受け、新たな在留資格を創設する方針を打ち出した。従来の技能実習生とは別扱いで、必要とする技能水準を各業種に委ね、日本語能力も日常会話程度でよしとする。事実上、単純労働者の受け入れに道を開くものとも言える。
こうした労働者の受け入れに積極的なのは「食品」や「輸送用機器」、「サービス」で、これらの業種では6─7割が前向きと回答した。日本の人口動態を反映して「日本人が集まらない」(輸送用機器)、「単純労働については恒常的な人手不足が予想される」(サービス)といった事情がうかがえる。
一方、それ以外の業種では、受け入れに消極的な企業が6割を超え、受け入れに前向きな企業は38%とどまった。
「単純労働をなくすため、機械化を推進している」(化学)、「基本的に単純労働は不要」(建設)といった声が多い。「不足しているのは技術担当」(電機)、「外国人採用はグローバル化が目的であり、単純労働者の必要性からはではない」(卸売)など、より高度な人材にニーズがある様子がうかがえる。
さらに「受け入れ時の教育など日本人以上のコストを要する」(運輸)、「処遇など体制整備に時間がかかる」(繊維)など、企業の負担は大きい。制度上、在留期間が限定されていることも「コストに対し期間限定となるデメリットが大きい」(精密機械)という制約になっている。