最新記事

中台関係

台湾がエルサルバドルと断交、外交関係残るは17カ国 中国の圧力に屈しないと表明

2018年8月21日(火)15時33分

8月21日、台湾外交部(外務省)は、エルサルバドルと断交すると発表した。中国が台湾と外交関係を結ぶ国への圧力を強める中、台湾との外交関係を残す国はこれで17カ国となった。写真は台湾の呉外交部長(外相に相当)。台北で撮影(2018年 ロイター)

台湾外交部(外務省)は21日、エルサルバドルと断交すると発表した。中国が台湾と外交関係を結ぶ国への圧力を強める中、台湾との外交関係を残す国はこれで17カ国となった。

これとは別に、エルサルバドルのサンチェスセレン大統領は国民に向けたテレビ演説で、同国政府が台湾との外交関係を断絶し、代わりに中国との新たな外交関係を樹立したことを明らかにした。

台湾の蔡英文総統はこれについて、中国が台湾への圧力を強めていることを示す新たな証拠だとし、台湾は圧力に屈しないと言明。「同様の価値観を持つ国と連携し、ますます統制が効かなくなっている中国の国際行動に対抗していく」と述べた。

台湾の呉外交部長(外相に相当)は記者会見で「われわれは金に物を言わせる競争を中国と続ける意向はない」と語り、エルサルバドルが昨年から港湾開発のために「莫大な資金支援」を繰り返し要請してきたが、評価の結果、「不適切なプロジェクト」を支援することはできなかったと説明。「中国からの圧力は、民主主義と自由の道を歩み続けるという台湾の決意を強めるだけだ」と強調した。

中国の王毅・国務委員兼外相は記者団に対し、エルサルバドルは正しい選択をしたとの見方を示し、「同国の国民は中国との協力から具体的な恩恵を受けるだろう」と述べた。

蔡英文総統は中南米歴訪を終えたばかり。

蔡氏が2016年に就任して以降に台湾が外交関係を失った国はエルサルバドルが5カ国目。

[台北/北京 21日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプ関税大戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月15日号(4月8日発売)は「トランプ関税大戦争」特集。同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米首脳が電話会談、石破首相「最も適切な時期に訪米

ビジネス

米株価指数先物が下落後に一部戻す、S&P500は弱

ビジネス

米関税で景気鈍化とインフレ進行も=JPモルガンCE

ビジネス

欧州株の年末予想を再度引き下げ、「予測意味ない」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ使い回しをやめるまで
  • 4
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 5
    フジテレビが中居正広に対し損害賠償を請求すべき理由
  • 6
    ユン韓国大統領がついに罷免、勝利したのは誰なのか?
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 9
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 10
    4分の3が未知の「海の底」には何がある? NASAと仏…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 9
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中