国際政治の初心者と黒帯の対決? 米ロ首脳会談「軍配」の行方は──
1対1の会談でスタートする米ロ首脳会談に向け、トランプ大統領がどのように準備を進めているかを問われたホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)報道官は、「大統領と彼のチームは、米ロ関係におけるあらゆる問題を協議する準備を行うだろう」と答えた。
トランプ氏が大統領に就任してから、米国政府はロシアに経済制裁を科している。だがその一方で、トランプ氏自身は、ロシアに対して多くの側近よりも強硬な態度を示しておらず、同国が主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)に復帰するべきだと述べている。2014年3月にクリミアを併合したのを受け、ロシアはG8から除外された。
現在はG7サミットと呼ばれ、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、米国が参加している。
バズフィードが外交筋2人の話として伝えたところによると、トランプ大統領はカナダで6月開催されたG7サミットで、住民が皆ロシア語を話すので、クリミアはロシアの一部だと語ったという。
プーチン大統領は、シリア南西部から傘下の民兵組織を撤退させるようイランに圧力をかける後押しをしたと、トランプ大統領に売り込むかもしれないが、米議会の反対によって制裁が緩和される可能性はほとんどないことを理解するだろうと、米国の元当局者は言う。
トランプ大統領のロシアに対する姿勢が、米国の安全保障担当高官のそれよりも寛大だと認識しているプーチン氏は、因習にとらわれない破壊者として見られたいトランプ氏の欲望に訴えかける可能性もある。
ロシアの政府系メディアは、トランプ大統領について、正しい決断を阻止しようとする顧問に取り囲まれていると伝えている。
ロシア政府は、側近抜きに1対1で両首脳が会談をスタートすることを歓迎しているが、これについて、トランプ大統領が容易にプーチン大統領に操られてしまうのではないかと危惧する反トランプ派もいる。
「あなたと私は、この地球上で束縛を受けない強大な人間であり、この関係を邪魔しようとするのは、取るに足りない人間や敵対者たちだ」と、プーチン氏が言いそうな口上について、前出の元当局者は語った。「われわれは唯一無二のディールを結ぶことができる。さあ、やろうじゃないか」
(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
[ワシントン 9日 ロイター]
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