戦慄の実話! 悪夢と化した「憧れの田舎暮らし」 こんなにヤバかった「人間関係」
夫は月に何度か新宿の本社に顔を出せばいい。新宿まではわずか150キロほど。中央線の特急でも、高速道路でも楽にアプローチできる距離だった。
「気持ち的には東京の郊外に住んでいるのとまるで変わらない距離で、日本で最高の眺望と開放的な空気が手に入るなんて。こんな天国みたいなところが日本にあったなんて、と思ったんです」
古民家の家賃も、吉祥寺の賃貸マンションに較べれば3分の1。それで、古民家とはいえ戸建てが借りられ、間取りの何倍も広い庭までついているのだ。
有料のゴミ袋を購入したのに......
だが住み始めてほどなく、最初の"事件"に直面する。ゴミが出せないのだ。
移住に当たっては役所の窓口にも何度か足を運び、生活の仕方などをいろいろと聞いたつもりだった。だが、ゴミが出せない、というのはまさかの展開だった。
「高さは人の背丈ほどもあって、幅はそれこそプレハブ小屋並みの長さの立派なゴミ集積所があるのは知っていたんです。市の有料のゴミ袋を買ってそこに出せばいいものと、頭から考えてしまっていて......」
移住して間もなく、ゴミ出しに出向いたとき、目の合った人から「あんた、名前は?」と訊かれ、丁重にあいさつを返した。
するとほどなく、自宅に地元集落の役員だという初老の男性が現れたのだ。
「あれ(ゴミ集積所)は組(集落)のもんだから、組に入っておらんもんはあそこには出せん」
友美さんはこう応じた。
「では、ちゃんと会費をお支払いして組に参加させていただけませんか」
だが、組長(町内会長)と相談してきたという男性が再び自宅を訪れ、こう告げた。
「悪いけんど、組長がうちの組にはよそから来たもんは入れんっちゅうとるから」
「じゃあ、ゴミを出せないの? そんなバカなことって......」
呆然とした友美さんが役所に駆け込むと、それまで移住の相談に乗っていた担当者もそっけなくこう繰り返すだけだった。
「ああ、あそこの組長さんはもう......何を言ってもダメですから......」
〈えっ、なに? じゃあ、うちはあそこに住んでいる限り、もう地元でゴミを出せないってこと?〉
聞けば、役所ではこうしたゴミ出しを拒否された移住者のために、役所の駐車場に特設のゴミ集積所を作っているという。