インドネシア、また船舶事故で34人死亡 乗船名簿と乗客数合わず捜査が混乱も
事故当日トバ湖では捜索終了
おりしも南スラウェシ州で連絡船事故があった7月3日は、スマトラ島トバ湖の船舶遭難事故の行方不明者の捜索打ち切りのその日でもあった。
当局によれば湖内の水深約450メートルに船体と犠牲者8〜10人が残されていることは確認できたというが、残る約150人は依然行方不明のままだ。当初、事故発生後10日間だった捜索期間は、船体が湖底で発見されたことで延長されたものの、その後新たに3遺体が発見されただけで3日で最終的に捜索打ち切りとなった。地元自治体は早くも現場近くの陸地に「慰霊碑」を建立することを検討しているという。
3日は現場を臨む桟橋付近で宗教者による慰霊式が行われ、行方不明者の家族や友人が湖面に花を投げ入れ、悲しみを新たにする姿がテレビのニュースで全国中継された。
島国のインドネシアだけに、一般人の移動手段として重要な船舶の安全航行確保には再度、官民共同で真剣に取り組む必要があるだろう。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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