日本は韓国のわずか3分の1 快進撃続ける韓国の映画観客動員数
当日のチケット販売状況まで確認できる韓国映画界
さて、この観客動員数、韓国では一体どうやってカウントしているのだろうか。韓国には映画振興委員会(KOFIC- Korean Film Council)と呼ばれる文化体育観光部(日本の文科省に相当)傘下の行政機関がある。この団体が運営している映画館入場券統合電算網(KOBIS-Korea Box Office Information System)というシステムで観客動員数を発表している。一般の人も作品を1日単位で地域別や現在の予約率など、数時間遅れとはいえほぼリアルタイムで検索が可能で、映画のデータマニアにはたまらない検索サイトだろう。2004年5月よりKOBISのサービスが開始されたが、当時はこのシステムに加入する映画館は50%ほどだったという。ところが、未加入だった個人経営の映画館を大手シネコンが買収し続けた結果、現在では99%の加入率を誇っている。映画館の収益の透明性と確実性に一役買っているのと同時に、映画振興委員会が運営していることで、後日上映を証明する際、このデータが証拠になるなどプロアマ問わず幅広く利用されているシステムだ。
かつては配給会社が劇場に出向いて確認
開始当初の加入映画館は半数ほどだったが、それ以前システムが確立されてなかった当時は、配給会社は映画館側の報告のみを頼りに利益の分配などを行っていたという。地方の小さな映画館などは分配金を少しでも払いたくないがために嘘の報告をしたり、配給会社もその言い値の数値が信じられない場合は、社員が実際に全国各地の映画館に出向いてその目で確かめに回ったそうだ。動員数当たりの利益計算はひとりあたり約3000ウォン(約300円)程度と考えられている。これは韓国の平均的なチケット代1万ウォンを考えると少ない気もするが、割引も多いので平均するとこの程度になる。
KOFICはその他にも、映画や映像物などの等級審議や映画に関する助成などたくさんの業務を行っているが、2017年には反政府的な作品について製作/配給/映画館などをリストアップした「文化界ブラックリスト」を朴槿惠前大統領時代の大統領府と共に制作したとして注目され、ニュースにも大きく取り上げられた。このリストに名前が挙がった映画人はKOFICの支援から除外され、弾圧まで加えられている。「明らかに表現の自由を奪う行為である」と映画関係の団体は訴えている。