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アメリカ外交トランプ政権、インド太平洋に1億ドル超拠出 中国に見劣りとの声
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7月30日、ポンペオ米国務長官は、インド太平洋地域に1億1300万ドル相当を拠出すると発表した。写真はワシントンで25日撮影(2018年 ロイター/Aaron Bernstein)
ポンペオ米国務長官は30日、インド太平洋地域に1億1300万ドル相当を拠出すると発表した。ハイテク、エネルギー、インフラの各分野に重点投資する。
ポンペオ長官は米商工会議所(USCC)での講演で「今回の拠出は、新時代を迎えインド太平洋地域の平和と繁栄に向け米国が支払う、経済的コミットメントの頭金にすぎない」と表明。
その上で「アジアでの多数の同盟国や友好国と同様、米国は服従を求める大国からの独立のために闘ってきた。したがって米国にインド太平洋地域を支配する意図は全くないし、そういう国があるとすれば反対する」とし、名指しはしなかったものの中国を暗にけん制した。
拠出金のうち2500万ドルは米ハイテク輸出の拡大に充てるほか、エネルギー資源関連などに5000万ドル近くを新たに支出する。
ポンペオ氏によると、新たな水の供給源開発に向け、モンゴルと3億5000万ドルの投資協定に調印、米国政府内の開発機関もスリランカの交通改革などで巨額の資金投資に向け合意をとりまとめつつあるという。
国務長官の上級政策顧問を務めるブライアン・フック氏は記者団に、中国の地域開発への貢献を歓迎するとした上で、透明性や法の支配、持続可能な資金調達に関する国際基準の順守を望む考えを表明。「米国の経済関与モデルが域内各国にとって最も健全だ。高質で透明、財政的にも持続可能だ」と訴えた。
ある高官は、今回の拠出は中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に対抗するものではないと述べた。
コーネル大学のエスワル・プラサド教授(貿易問題)は、米国の奨励金が中国の投資と比べて小規模と指摘。「規模と範囲の両面で、中国の奨励策と比べ野心の面で見劣りする」「中国政府主導の奨励策は大胆で大きいが、米国政府の役割ははるかに控えめで、こうした違いも浮き彫りとなった」と話した。
ポンペオ氏は今週、マレーシア、シンガポール、インドネシアを訪問する予定で、地域の安全保障支援についても発表を行うという。
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