そっくりさんから便乗バーガーやTシャツまで シンガポールの米朝会談狂想曲
全世界が注目する世紀のイベント開催でシンガポールは熱気に包まれた。写真はシンガポールに現れた両首脳のそっくりさん。 Tyrone SiuHEADLINE - REUTERS
<全世界が注目する世紀のイベントの開催地シンガポールは、6月12日をどう迎えたのか?>
6月12日にシンガポールで行われたトランプ米大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談は「誰もが予想した以上の成果があった」とトランプ大統領が自賛するほど成功裡にかつ滞りなく終了した模様だ。
金委員長も11日夜にはマリーナベイサンズなどの観光地を訪問するなどシンガポールの短い滞在をそれなりに楽しんだようで、歴史的な首脳会談は事前の事務方による周到な準備もあり、双方から通訳だけが同席した1対1の会談、その後の関係閣僚を交えた拡大会談を経て合意文書の調印にまで漕ぎつけることができた。
両首脳とその関係者、警備陣を迎えた都市国家であり観光立国でもあるシンガポールは10日から厳しい交通規制が敷かれ、両首脳が滞在するシャングリラホテル、セントレジスホテル周辺での検問、チャンギ空港での手荷物検査など最高度の警戒が続き、市民や観光客は影響を受けた。
そっくりさんからTシャツ、特製バーガーまで
首脳会談に先立ってトランプ大統領、金委員長の2人のそっくりさんが繁華街のブギスや観光地マーライオン周辺に登場して気軽に写真撮影に応じるなどの平和的光景も見られたが、周囲には目を光らせる警察が配置されていた。
両首脳の似顔絵が描かれた1枚20シンガポールドル(約1600円)のお土産用Tシャツはこの歴史的イベントの期間に居合わせた観光客には人気で飛ぶように売れていた。表現の自由には制限があるシンガポールだが、今回の米朝首脳会談の開催場所として選ばれたことを「誇り」とする政府だけに、Tシャツもそっくりさんも特に当局からお咎めはなかったという。
ロイター通信などによると市内のバーガーチェーン店「ウルフ・バーガー」は米製のチェダーチーズと韓国産のブルコギを盛り込んだ特製バーガー「世界平和バーガー」を売り出したほか、メキシコ料理店「ルチャ・ロコ」では「ロケットマン」「エル・トランポ」という名前のタコスを販売しているという。「ロケットマン」は2017年にミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の金委員長をトランプ大統領が「小さなロケットマン」と呼んだことに由来している。
さらにトランプ大統領の好物コーラと韓国の焼酎で創った特製カクテルを販売するバーやシンガポール料理の「ナシレマ」に米国産ビーフと韓国のキムチを加えた特別メニューを売る店も登場した。