世界で最も軍事化された朝鮮半島の南北軍、軍事力を比較すると
軍事訓練に参加する北朝鮮軍兵士。2015年の写真とされる KCNA/REUTERS
<最新鋭兵器とアメリカという同盟国をもつ韓国、空腹の兵士が多いが核兵器ももつ北朝鮮、戦わないのが一番だが>
韓国国防省と米国防総省は18日、8月に予定していた合同軍事演習の中止を発表した。17日には韓国の聯合ニュースが、米韓が今週中に、北朝鮮が非核化の約束を守らなかった場合には再開することを前提として「大規模」軍事演習の中止を発表する見通しだと報じていた。
今回の決定は、6月12日にシンガポールで開催された米朝首脳会談を受けてのものだ。この会談の際、ドナルド・トランプ米大統領は米韓の軍事演習を「戦争ゲーム」と北朝鮮特有の呼び方で呼び、これを中止すると約束していた。
朝鮮半島は世界で最も軍事化された地域のひとつだ。朝鮮半島に配備されている北朝鮮軍と韓国軍の強さを比較してみよう。
北朝鮮と韓国、それぞれの軍の強さを評価する一つの手段が、兵士の数と保有する兵器の数を比較することだ。
数の上では、北朝鮮の朝鮮人民軍が韓国軍に勝っており、兵士の数と火砲の数は韓国の2倍を誇る。
イギリスのシンクタンク国際戦略研究所(IISS)が発表した軍事年鑑「ミリタリー・バランス」2015年版によると、北朝鮮の現役兵力が119万人なのに対して韓国は65万5000人。火砲の数は北朝鮮の2万1000に対し韓国が1万1000だ。また米国防総省によれば、北朝鮮はGDP(国内総生産)の4分の1近くを軍に費やしている。
「飛べない戦闘機」と老朽化した兵器
だが兵士や兵器の数だけでは判断できない。韓国は同盟国のアメリカから調達した最新型の装備や兵器を保有しており、両国の軍には質の面で大きな差があるという。
「北朝鮮が保有する戦車は、60年代後半に旧ソ連で製造されたT62戦車。韓国が保有する2013年のK2戦車に太刀打ちできない」と、ボン国際軍民転換センターのマーティン・ベイルズは17年にドイツの国営ラジオ「ドイチェ・ウェレ」に語っている。
記録上は、北朝鮮はいつでも飛べる戦闘機を563機保有している。だがIISSによれば、整備や保守上の問題から、2014年には全ての戦闘機が一時飛行禁止となっている。陸軍と海軍も老朽化した兵器ばかりだ。
この劣勢をみれば、北朝鮮が核兵器の開発に重点を置いている理由が分かる。韓国を軍事力で逆転するには核兵器をもつのが手っ取り早いからだ。