中国、「米朝韓」3者終戦宣言は無効!
朝鮮戦争はもともと南北朝鮮の間の戦争のはずだったが、途中から北には中国人民志願軍がつき、南にはアメリカが率いる国連軍がついて、韓国はその国連軍の中の一国という位置づけになっていた。休戦協定は最終的には「北朝鮮と中国およびアメリカ(国連軍代表)」の間で署名され締結された。
したがって文在寅大統領の理屈(弁明?)に一理はあっても、中国が黙っているはずはないだろう。
しかし上掲のハンギョレ新聞の<文大統領、終戦宣言に「不可侵」盛り込む案を推進>には「文大統領はすでに北朝鮮の金正恩国務委員長やドナルド・トランプ米大統領、習近平中国国家主席とこのような構想を協議し、首脳レベルの共感を広げている」と書いてある。
本当だろうか?
習近平国家主席が、3者終戦宣言という構想に「共感」しているのだろうか。
どうも考えにくい。
そこでまず、中国の情報を調べてみた。
中国が「無効!」とまで抗議
すると、中国のネットは驚くほど「3者終戦宣言」に対する抗議に溢れていることを発見した。
まず中国共産党系新聞の「環球時報」が「中国なしの半島の終戦宣言は無効! いつでも覆すことができる」という論評を出している。「環球時報」の情報を数多くの他のウェブサイトが載せているので、ここでは最も読まれている新浪(sina.com)の報道を一つの例としてご紹介する。
その概要を以下に示す。
1.1950年に勃発し1953年7月27日に休戦協定を結んだ朝鮮戦争は、中国の参加なしに終戦を宣言しても無効である。
2.休戦協定の正式名称は「朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令員と国連軍総司令官による朝鮮軍事停戦の協定」と明確に書いてある。「北朝鮮、中国、国連軍代表(アメリカ)」の3者による署名なのである。
3.もし中国の艱難辛苦のあの努力がなかったら、絶対に休戦協定は存在していなかったし、あれから65年間の(戦争がない)平穏も存在しなかった。(筆者注:朝鮮戦争に参加した兵士の数等に関しては、4月26日のコラム<朝鮮戦争「終戦協定」は中国が不可欠――韓国は仲介の資格しかない>に書いたように、「北朝鮮:80万人、中国:135万人~200万人、アメリカ:48万人、韓国:59万人」で圧倒的に中国が多く、中国は35万人の死傷者と17万人の戦死者を出している。中国の勢いに押されてアメリカ側が休戦を申し出た。)
4.もし中国が参加しないなら、休戦協定を廃止することは法律的に不可能だ。もし休戦協定を廃止できないとすれば、終戦宣言の基礎と法律的根拠はどこにあるというのか?また、もし終戦宣言が法律的意味合いを持ってないとすれば、終戦宣言に署名してもいかなる意味があるというのか?このパラドックス(逆理)をどう説明するのだ?
5.4月27日の「板門店宣言」では「南北米3者か南北米中4者によって終戦協定までの平和体制構築を協議する」と言っていたのに、いったいいつの間に「3者協議」が既成事実のように変わったのか。