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貧困大国アメリカの12.7%は貧困状態 トランプ政権誕生で拡大・深刻化か
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6月2日、国連特別報告者のフィリップ・アルストン氏は、米国における貧困はトランプ政権下で拡大・深刻化しているとの見解を明らかにした。写真は2年間ホームレスを続けている男性。カリフォルニア州ロサンゼルスで3月撮影(2018年 ロイター/Lucy Nicholson)
国連特別報告者のフィリップ・アルストン氏は、米国における貧困はトランプ政権下で拡大・深刻化しているとの見解を明らかにした。同政権は数百万人の貧困層からセーフティーネットを奪う一方で、富裕層に見返りを与えているという。
アルストン氏は米当局に対し、信頼できる社会的保護を提供し、「貧困層を処罰し投獄する」よりも根本的な問題を解決するよう呼び掛けた。
同氏は報告書でトランプ大統領による税制改革について、生活保護や健康保険へのアクセスを縮小させることる一方、超高所得者層や大企業に「思いがけない利益」を与え、不平等がさらに広がったと指摘した。
同氏によれば、米国における極度の貧困はいまに始まった話ではなく、1960年代のリンドン・ジョンソン大統領時代の貧困撲滅運動以来「ひいき目に見ても、無視されていた」という。
だが「過去1年にかけて追求されてきた各政策は、最貧困層から故意に基本的な保護を奪い、失業者を罰し、基本的な医療について市民の権利ではなく手に入れるべき特権であるような状態へと、意図的に変えてしまったように思える」と述べた。
ホワイトハウスからのコメントは得られていない。ジュネーブにいる米当局者はロイターに対し「トランプ政権は、全ての国民に対し経済的機会を提供することを優先課題としている」と述べた。
アルストン氏が言及した米国勢調査局のデータによると、同国では12.7%に当たる約4100万人が貧困状態にあり、このうち1850万人が極度の貧困に陥っている。貧困層の3人に1人は子どもで、米国は先進工業国において若者の貧困率が最も高いという。
ただ、このデータは2016年までのものであり、トランプ大統領就任の前と後の比較統計を示していない。
同氏は今月、国連人権理事会に対して報告を行う予定だ。
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