最新記事

ドローン

世界最軽量、ワイヤレスで給電できるハエのような飛行マシン開発される

2018年5月28日(月)14時30分
松岡由希子

Credit: Mark Stone/U. of Washington

米ワシントン大学の研究チームは、2018年5月、ハエの形状に似た世界最軽量のワイヤレス給電型ドローン「ロボフライ」を開発した。

不可視光レーザーを照射して光を電力に変換

電線を要さず、ハエのように羽を上下に動かして自律飛行できるこの超小型ドローンは、従来のドローンが進入できないような狭い場所でも利用できるため、農作物生育のモニタリングから配管のわずかな漏れの検知まで、様々な分野への応用が期待されている。

「ロボフライ」は、ハエより少し大きく、その重さはわずか190ミリグラム。上部に装着されている小型の光電池に波長の狭い不可視光レーザーを照射して光を電力に変換し、小型回路が光電池から出力する7ボルトの電圧を飛行に必要な240ボルトにまで増幅させて、これを自律飛行のための動力源に活用する仕組みとなっている。

また、この小型回路には「ロボフライ」の羽の動きを制御するマイクロコントローラー(MCU)も搭載され、ハエの脳が羽を動かす筋肉運動を指令するように、パルスを発することで"羽を激しく動かせ"とか"羽を動かすな"といった指令を出すことができる。

RoboFly-circuit_770.jpgCredit: Mark Stone/U. of Washington

不可視光レーザーを照射して光を電力に変換

小型ドローンの開発では、羽をバタバタと上下させる動作が多くの電力を消費するうえ、電源やコントローラーが大きくてかさばりがちな点が課題であった。そのため、研究チームのメンバーでもあるソーヤー・フラー准教授が米ハーバード大学在籍時の2013年に開発した昆虫型ドローン「ロボビー」は、地上から電線を通じて給電し、制御する仕組みとなっていた。

RoboFly-laser_770.jpgCredit: Mark Stone/U. of Washington

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国工業部門利益、第1四半期は前年比+0.8% 増

ワールド

韓国大統領選、最大野党候補に李在明氏

ワールド

北朝鮮、ロシア派兵初めて認める 金氏「正義のために

ビジネス

米財務長官、トランプ氏と中国国家主席の協議「承知せ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドローン攻撃」、逃げ惑う従業員たち...映像公開
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中