最新記事

中朝合弁

ハッカー部隊? 核疑惑?の北朝鮮資本ホテルが、中国のホテルとして復活

2018年5月25日(金)17時10分
中野鷹

そのため同ホテル内に北朝鮮のハッカー部隊がいるという話が度々メディアで取り上げられた。裏取りが難しい話ではあるが、北へのメールは同ホテルを経由していたことは事実のようだ。

核開発関与疑惑で拘束された美人経営者が経営

七宝山ホテルが注目される理由はもう1つはある。それは中国側のパートナーが「鴻祥集団」だったからだ。 鴻祥集団は、美人経営者として話題になった馬暁紅氏が代表を務めていた会社だ。その馬氏と同社は、北朝鮮と核関連物質を取引したことを理由に2016年9月にアメリカから独自制裁を受けている。

アメリカから独自制裁対象になる直前の2016年8月に馬氏は拘束されている。中国国内で報じられている馬氏の容疑は、核などの密貿易ではなく脱税という軽微な罪だ。にもかかわらず中国がアメリカの目を意識してか現時点でも軟禁状態が続いている。代表が拘束されたあとも七宝山ホテルは、何事もなかったかのように営業を続けたことになる。

北朝鮮とは関係ない、というが......

中富国際ホテルとして正式オープンする直前の今月中旬、瀋陽の旅行会社代表がホテルを視察した。フロントがある1階は、七宝山ホテル時代のまま居抜きで使っているようだ。新しい運営会社は北朝鮮とも鴻祥集団とも一切関係なく、スタッフは全員中国人だと力説する。

かつて2階にあった北朝鮮レストラン(以下、北レス)「玉流館」は完全閉店し、焼肉店としてリニューアルの工事が進んでいた。玉流館は、もっとも華麗かつ優美な北レスとも称された高級店だったがすでに見る影はない。

北朝鮮とは無関係だと主張する現運営会社だが、1階には七宝山ホテル時代からあった北朝鮮唯一の航空会社「高麗航空」と、北朝鮮ですべての日本人旅行者を担当する「朝鮮国際旅行社」のオフィスがそのままテナントとして同じ場所で営業している。

これらが継続して中富国際ホテル内に残っているところを見るとかつて中継点として使われていたという北のメールサーバーなどもそのままの可能性も捨てきれない。

4つ星や5つ星など中国のホテルランクは国際基準とはまったく異なる中国の独自基準で等級付けされるのだが、中富国際ホテルは外国人も宿泊できる4つ星ホテルだ。しかしその実態は、不透明な状態が続きそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中