ナジブ前首相が汚職調査機関に出頭 出国禁止、家宅捜索と狭まる包囲網
その結果、自宅から段ボールで280箱分の宝石、高級バッグを押収。シャネル、グッチ、プラダなどの高級ブランドのバッグには多額の現金や宝石が詰め込まれていたという。
高級コンドミニウムからもエルメス、バーキン、ルイヴィトンなど72個のバッグを押収した。バッグの中にはマレーシア通貨のリンギットの他に多額の米ドルが保管されていたという。警察当局も押収品の総額がいくらになるのか「現時点では計算できない」と言うほどだった。
あだ名は「マレーシアのイメルダ夫人」
警察に押収された大量の高級バッグ、宝石はナジブ前首相の妻ロスマ夫人の所有物で、首相の妻の立場を利用して頻繁に海外に赴いては高級ブランドのバッグ、洋服、宝石を買い漁っていたとされる。そこでついたあだ名は大量の高級靴のコレクションで有名になったフィリピンのマルコス元大統領夫人にちなみ「マレーシアのイメルダ」というものだった。
ロスマ夫人に関しては、2016年9月に地元マスコミのネット版に写真が大きく掲載され、その腕時計とイヤリングをアップにして「腕時計は250万マレーシアリンギット(MR、約61万円)、イヤリングは50万MR(約12万円)」と指摘されたことがある。
また2008年から2015年までに英ロンドンのハロッズ、米ニューヨークの5番街などで洋服、靴、宝石を購入した際に支払った額が600万ドルにのぼり、この一部に1MDBの資金が含まれている可能性も指摘されていた。
さらにロスマ夫人はニューヨークのタイムズスクウェアの高級アパートのペントハウス(約3000万ドル)やロサンゼルスのマンション(3900万ドル)などを含む約10億ドルの資産があると報じられていた(本誌2016年10月18日号、「ナジブ首相の足をひっぱるマレーシアのイメルダ夫人」)。
こうした疑惑はナジブ前首相が権力の座にいたときは疑惑のままで済まされてきたが、今後は警察、MACCなどによる厳しい追及にさらされることになる。