最新記事

米移民

2歳からアメリカで育ったのに強制送還?トランプが打ち砕く「ドリーマー」の夢

2018年5月16日(水)20時00分
アレクシス・トバル

しかも、彼はそれを何度も何度も試みた。メキシコ国境の壁建設資金を出すならDACAを維持すると言ってみたり、家族単位の移民制度を廃止して移民の数を減らそうとした。そして、不法移民に対する取り締まりを厳しくした。

私が一番困っているのは、この最後の点だ。成人としてアメリカにきた不法移民の両親と、子供として連れて来られてDACAの対象だった姉とを天秤にかけ、どちらかを差し出せ、と言われたらどうしたらいいのか。

私の両親は、ニューヨーク州北部にある私の大学で、家族向けイベントに出ることもできなくなった。旅の途中で移民税関捜査局に捕まるのが怖いからだ。

中間選挙に注目

ヤッツリは毎日、移民の権利団体「メイク・ザ・ロード・ニューヨーク」で働いている。地域社会のために戦い、すべての人に対する尊厳と尊敬を求めている。自分のためだけでなく、周囲のすべての人の権利のために戦ってきた。

両親は勤勉と善良であることの価値を教えてくれた。トランプだろうが、ジェフ・セッションズ司法長官だろうが、誰が何と言おうと私は両親に背を向けたりはしない。

連邦議員にはこう言いたい。トランプがDACAを打ち切り、あなたがたが何もしないでいるうちに、すでに200日以上が経った。これ以上待てない。すでに移民の若者2万人がDACAによる保護を失った。その数は日々増え続ける。今こそ行動して欲しい。

姉は投票できないが、私はアメリカ国民として投票できる。また、議会が中途半端な状態で放置してきたドリーマーの周囲には、多くの子供や兄弟、姉妹、友人がいる。11月の中間選挙に、私たちが注目していることを知ってほしい。

恒久的な保護の必要性は差し迫っている。議会は、不法移民の子供たちに滞在資格を与える「ドリーム法」を可決してほしい。

トランプが私の家族を脅かそうとしている今、私の要求はシンプルだ。姉を私から奪わないでほしい。両親と姉のいずれかを選ばせるようなことは絶対にやめてほしい。

(翻訳:栗原紀子)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中