イラン核合意離脱でトランプが狙う「体制転換」シナリオ
そして間違いなく言えるのは、実際に戦争が起きた場合、さらに多くの人命が失われ、アメリカの金が無駄に費やされるだけではなく、より広範な地域紛争の火付け役となる可能性もあるという点だ。
こうした事態を引き起こした責めを負うべき唯一の存在は、現在ホワイトハウスの大統領執務室に座っている。トランプがどれだけ騒ぎを起こし、責任を転嫁し、言葉足らずのツイートを連発しても、この事実を覆い隠すことはできない。
この大失策で改めて浮き彫りになったのは、トランプが2016年の大統領選でアメリカ国民に約束したのとは裏腹に、他国への積極的介入を控えるつもりもないし、オバマ前大統領の犯した過ちを正すつもりもないということだ。
むしろトランプは、単純で洗練度に欠けて一面的で、軍事作戦に重きを置きすぎたジョージ・W・ブッシュ大統領の1期目の外交政策へと、我々を引き戻している。
ボルトンを国家安全保障問題担当補佐官に、ポンペイオを国務長官に任命し、さらにはテロ容疑者への拷問を指揮したとされるジーナ・ハスペルを中央情報局(CIA)のトップに指名した一連の動きは、ブッシュ政権時代の外交政策への後戻りだ。それがどれほど「効果的」だったかは、ご存じの通りだ。
チャーチルは間違っていた
かつてドイツ帝国の首相を務め、「鉄血宰相」の異名を取ったオットー・フォン・ビスマルクは、「自らの失敗から学ぶことも悪くないが、他人の失敗から学ぶ方が良い」との名言を残した。
だがイランとの核合意問題で、アメリカは、自国と他国、どちらの失敗からも学ぶ能力がないことを露呈した。
また、ウインストン・チャーチルの言葉として伝えられている「アメリカは常に正しい行動を取る」という言葉は、今や訂正が必要だ。
トランプ政権下のアメリカは、常に間違った行動を取っているようだ。しかもこれらの決断は、どう見てもより優れた選択肢を先に検討しながら、それを退けた上でのものなのだ。
(翻訳:ガリレオ)
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