イスラエル首相「イランは核合意に違反している」
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イスラエル国防省でイランが核兵器を持とうとしてきた「証拠」をプレゼンするネタニヤフ首相(4月30日) Amir Cohen-REUTERS
<トランプが定めたイラン核合意破棄のデッドラインを目前に、イスラエルのネタニヤフ首相がイランの「嘘」を暴く証拠書類を入手したと発表>
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は4月30日、隠れて核開発を進めていたとイランを非難した。欧米による制裁解除と引き換えに、核兵器を作るためのウラン濃縮を制限すると約束したイラン核合意に背いた、というのだ。
ネタニヤフは特別記者会見を開き、イスラエルは、イランの核兵器開発計画についての極秘データを大量入手したと述べた。ネタニヤフはスライドを使ってプレゼンテーションを行い、イランが核兵器開発計画「プロジェクト・アマド(Project Amad)」を密かに進めていたと主張した。
これは、ミサイルへの搭載が可能な、爆発規模10キロトンの核弾頭5つを「設計し、製造し、試験」することを目指すプロジェクトだ。ネタニヤフは、その計画の証拠となるイランの原子力関連記録の「コピー」が10万部あると主張した。
「これらのファイルは、核兵器を開発しようとしたことはないとイランが堂々と嘘をついていることを示す決定的な証拠だ」とネタニヤフは述べた。
「イランは合意後もなお、将来のために核兵器開発プログラムを継続・拡大していた」とネタニヤフは続けた。「核合意は虚偽にもとづいている。イランの嘘と裏切りの上に成り立っているのだ」
イランは世界を欺いてきた?
イスラエルはこれらの書類について、「核兵器を開発しようとしたことは一度もない」というイランの主張が嘘であること、イランの都市、ゴム近郊にあるフォルドウ・ウラン濃縮施設でプロジェクト・アマドを継続していること、2016年1月に核合意が履行される前の2015年12月に、核開発に関して国際原子力機関(IAEA)に嘘をついたことを示していると述べた。
ネタニヤフはまた、現在の核合意は、イランの核兵器開発を阻止する上で不十分だとしている。
イスラエルはこれまで、イランは核兵器の開発を目指していると繰り返し非難してきた。それに対してイランは、核開発は平和利用のためだと主張。イランのハサン・ロウハニ大統領とバラク・オバマ米前大統領が合意に至った後、欧米諸国は、イランに科してきた重い制裁を徐々に縮小している。
ドナルド・トランプ大統領は2016年のアメリカ大統領選挙中、イラン核合意に対する保守派の憤りにおもねるかたちで、合意を破棄すると公言していた。また、イスラエルやサウジアラビアと同様、イラン核合意について深い懸念を抱いており、イランは核開発を極秘に継続しているのではないかという疑いを表明している。
また、イランは凍結されていない資産を、結びつきの強いシーア派武装組織への支援や、弾道ミサイル開発のために注ぎ込んでいる可能性もあると疑っている。そうした行為は、現在の核合意の規制対象には含まれていない。