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欧州イタリア、IMF元高官を暫定首相に指名 議会運営難しく秋には再選挙か
5月28日、イタリアのマッタレッラ大統領はカルロ・コッタレッリIMF元高官(写真)を暫定首相に指名し、来年初旬までに再選挙を実施する計画を進めるよう命じた。写真は28日、ローマで撮影(2018年 ロイター/Tony Gentile)
イタリアのマッタレッラ大統領は28日、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名し、2019年予算案の通過と来年初旬までに再選挙を実施する計画を進めるよう命じた。
イタリアでは3月の総選挙以降、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右「同盟」が連立政権樹立を目指していたが、次期首相に指名されていたジュセッペ・コンテ氏が前日、財務相の人選を巡ってマッタレッラ大統領と合意できずに組閣を断念した。
暫定首相の指名を受けたコッタレッリ氏は記者団に対し、再選挙は今秋もしくは来年初旬をめどに実施する見通しを示した。その上で、ここ数営業日で金融市場の緊張が高まったことに言及しつつも、「イタリア経済は引き続き拡大し、公会計も抑制されている。暫定政権下において、公会計の慎重な管理を進めていくことを確約する」とし、投資家の懸念払拭(ふっしょく)に努めた。
再選挙がイタリアのユーロ離脱の是非を問う事実上の国民投票になり得るとして、世界の金融市場では懸念が強まっており、ユーロは対ドルで半年ぶり安値を更新したほか、イタリア債利回りも上昇している。
コッタレッリ氏は数時間以内に組閣に着手し、議会の過半数支持を得る必要があるが、「フォルツァ・イタリア」を率いるベルルスコーニ元首相はすでにコッタレッリ氏を支持しない姿勢を鮮明にしていることもあり、困難が予想される。
また、議会の信任なしに年内の2019年予算案通過は難しいとみられ、それができない場合、再選挙は早ければ9月にも実施される可能性がある。
コッタレッリ氏が暫定首相の指名を受け入れたことを受け、同盟のサルビーニ書記長は声明で「民主主義に反する。一般投票の結果を尊重していない」と述べ、イタリアが金融市場の反応の奴隷にされていると批判した。
関係筋によると、五つ星運動は再選挙が実施されれば、同盟と組む可能性を検討している。
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