最新記事

日中関係

日中外相が会談、全面的な関係改善目指す方針で一致 北朝鮮情勢も議論

2018年4月16日(月)10時02分

4月15日、来日中の王毅・中国外相(写真)は、河野太郎外相と都内で会談し、日中関係が早期に正常発展の軌道に戻るような重要な一歩を踏み出すことを期待するとの見解を示した。写真は1日、ハノイで記者会見に臨む王外相(2018年 ロイター/Kham)

河野太郎外相と中国の王毅国務委員兼外交部長は15日に都内で会談し、日中関係を全面的に改善していくことで一致した。5月の李克強首相の来日を手始めに、首脳の相互往来を実現する。

北朝鮮問題についても議論したものの、河野外相は記者団に詳細なやりとりを説明することは控えた。

王外相は会談の冒頭、「今回の訪日は、河野大臣、そして大臣の前任の何回かの訪中の答礼訪問でもあり、日本側が前向きな対中政策を取ったことへの答えでもある」と発言。「両国関係を持続的、安定的に改善させ、早期に正常発展の軌道に戻していきたい」と語った。

会談は夕食会を含め、およそ3時間45分に及んだ。両外相は、5月の日中韓首脳会談に合わせて李首相がまず来日、その後に安倍晋三首相が訪中し、習近平国家主席が来日する段取りを確認した。河野外相は会談後、記者団に対し「日中の首脳往来を通じて幅広い実務協力を具体化し、全面的な関係改善を進めることで一致した」と述べた。外交・防衛当局間のほか、市民レベルの交流を進めていくことも申し合わせた。

北朝鮮問題については「現下の情勢を踏まえ、率直かつ突っ込んだ議論をした」(河野外相)ものの、3月下旬に開かれた米朝首脳会談の内容を含め、詳細なやり取りは明らかにしなかった。河野外相は記者団に「引き続き関連の安保理決議を完全に履行しながら、緊密に連携していくことを確認した」とだけ述べた。

王外相の来日は、今年1月の河野外相訪中に続く動きで、9年ぶりに日中外相の相互往来が実現した。両国は日本が実効支配し、中国も領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)などをめぐり関係が悪化していたが、平和友好条約締結から今年で40年を迎え、改善の機運が高まっている。

16日には両外相を議長に、2010年以降途絶えていたハイレベル経済対話を再開する。日本側からは茂木敏充経済再生担当相、世耕弘成経済産業相、中国側からは鐘山商務相が同席する。米国が保護主義色を強める中、自由貿易の重要性を確認する。15日の外相会談でも米中の経済摩擦が議論となり、両外相は「公正で国際的なルールにもとづく自由で開かれた貿易体制を維持していくことが重要との見解で一致した」(外務省関係者)。

王外相の来日に合わせ、日中は自衛隊と人民解放軍の佐官級交流も6年ぶりに再開する。15日から人民解放軍の少将や大佐など25人が来日した。

(久保信博 編集:田巻一彦)

[東京 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中