最新記事

トラベル

東南アジアで相次ぐリゾート地閉鎖 中国人観光客など膨張で環境負荷が極限に

2018年4月11日(水)15時57分

4月6日、フィリピンの人気観光地ボラカイ島が、同国のドゥテルテ大統領から「下水のたまり場」と呼ばれたことを受け、清掃のため6カ月間閉鎖されることになった。東南アジアのビーチリゾートを訪れる観光客が急増する中、観光地にプレッシャーが高まっていることを示している。写真はタイのピピ島。2005年12月撮影(2018年 ロイター/Bazuki Muhammad)

フィリピンの人気観光地ボラカイ島が、同国のドゥテルテ大統領から「下水のたまり場」と呼ばれたことを受け、清掃のため6カ月間閉鎖されることになった。東南アジアのビーチリゾートを訪れる観光客が急増する中、観光地にプレッシャーが高まっていることを示している。

とりわけ海外で休暇を過ごす中国人が増えるなど、記録的な観光客数の増加により、東南アジア地域のインフラ設備は悲鳴を上げていると、観光専門家は指摘。さらに思い切った措置が今後とられると予想している。

空港はカオス状態、ホテルは安全面や衛生面を軽視し急場しのぎで建設され、ビーチはごみにまみれ、サンゴ礁は死にかけている。

タイはすでにピピ島にある有名なマヤ湾を4カ月閉鎖する計画を明らかにしている。また、インドネシアの観光地バリ島の「危機」に取り組むよう、環境保護団体は同国政府に訴えている。

「アジアでは、コントロール不能となっている多くの観光地の浄化が必要となるだろう」と、香港理工大学のホテル・観光経営学部のブライアン・キング副学部長は指摘。「それは政府や業界、あるいはNGO主導の地域活動によるものかもしれない。深刻な事態になるまで行動をほとんど起こさない恐れがある」

「ボラカイ島の閉鎖ケースは初めてでも最後でもない」とキング氏は付け加えた。

航空各社は4月26日の閉鎖を前に、すでにボラカイ島へのフライトを削減し始めている。同島には昨年、観光客200万人が訪れた。最も多い外国人観光客は中国人と韓国人だ。

2桁成長の3年間を経て、昨年は記録的な観光客数の増加を見たフィリピンは、ボラカイ島の閉鎖により、国内総生産(GDP)が年間で0.1%削減する可能性があると試算している。

同国はまた、ミンドロ島のビーチリゾート地プエルト・ガレラの調査も計画。パラワン島のエルニドとコロンの調査にはすでに着手している。パラワン島のこれらリゾート地は、観光客の流入と急速な開発により、インフラに負担が重くのしかかっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外

ワールド

アングル:肥満症治療薬、他の疾患治療の契機に 米で

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書

ワールド

米議会、3月半ばまでのつなぎ予算案を可決 政府閉鎖
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、何が起きているのか?...伝えておきたい2つのこと
  • 4
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 5
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 6
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 9
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 10
    映画界に「究極のシナモンロール男」現る...お疲れモ…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 7
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 8
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 9
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中