あのネオコン、ボルトン復活に恐怖せよ
05年の国連大使指名の承認公聴会の折に問題視されたのが、異論を全く受け付けないボルトンの態度だった。その性向がむき出しになったのは国務次官時代の02年、情報分析官2人を解雇しようとしたときだ。理由は、キューバが生物兵器を開発して「ならず者国家」に供給しようとしているというボルトンの(誤った)見方に、彼らが異を唱えたことだった。
国家安全保障担当の大統領補佐官の主な職務の1つは、各省トップと外交・軍事政策のさまざまな選択肢を話し合い、それぞれの違いを熟考し、大統領にどの選択肢を提案するかを決めることだ。ボルトンはその仕事に全くもって向いていない。
しかし熟考など、もはやトランプ政権には不要なのかもしれない。政権内の「大人組」の生き残りは今や、ジェームズ・マティス国防長官だけだ。
元海兵隊大将のマティスは、「マッドドッグ」という異名を気に入られて国防長官に起用された。ところが、トランプは知りもしなかったが、実はマティスは蔵書数7000冊という学者肌。多くの将軍と同様に不要な戦争を望まず、捕虜の人道的取り扱いを定めたジュネーブ条約を重視する人物だ。
最近のトランプは、「ノー」とばかり言う側近にうんざりしているという。ならば、イエスマンでは決してないボルトンに飽きる日も遠くないかもしれない。それでも短期的には、ボルトンはトランプの邪悪な側面を刺激し、北朝鮮やイランへの威嚇や脅しを現実のものにする役目を果たすのではないか。
ボルトンを迎え、ポンペオが国務長官の指名承認を待つなか、トランプは実に「トランプらしく」なりつつある。それが意味することを考えれば、恐怖と不安に襲われるのは当然だろう。
<本誌2018年4月3日号掲載>
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