最新記事

トランプ政権

あのネオコン、ボルトン復活に恐怖せよ

2018年4月6日(金)18時00分
フレッド・カプラン(スレート誌コラム二スト)

05年の国連大使指名の承認公聴会の折に問題視されたのが、異論を全く受け付けないボルトンの態度だった。その性向がむき出しになったのは国務次官時代の02年、情報分析官2人を解雇しようとしたときだ。理由は、キューバが生物兵器を開発して「ならず者国家」に供給しようとしているというボルトンの(誤った)見方に、彼らが異を唱えたことだった。

国家安全保障担当の大統領補佐官の主な職務の1つは、各省トップと外交・軍事政策のさまざまな選択肢を話し合い、それぞれの違いを熟考し、大統領にどの選択肢を提案するかを決めることだ。ボルトンはその仕事に全くもって向いていない。

しかし熟考など、もはやトランプ政権には不要なのかもしれない。政権内の「大人組」の生き残りは今や、ジェームズ・マティス国防長官だけだ。

元海兵隊大将のマティスは、「マッドドッグ」という異名を気に入られて国防長官に起用された。ところが、トランプは知りもしなかったが、実はマティスは蔵書数7000冊という学者肌。多くの将軍と同様に不要な戦争を望まず、捕虜の人道的取り扱いを定めたジュネーブ条約を重視する人物だ。

最近のトランプは、「ノー」とばかり言う側近にうんざりしているという。ならば、イエスマンでは決してないボルトンに飽きる日も遠くないかもしれない。それでも短期的には、ボルトンはトランプの邪悪な側面を刺激し、北朝鮮やイランへの威嚇や脅しを現実のものにする役目を果たすのではないか。

ボルトンを迎え、ポンペオが国務長官の指名承認を待つなか、トランプは実に「トランプらしく」なりつつある。それが意味することを考えれば、恐怖と不安に襲われるのは当然だろう。

<本誌2018年4月3日号掲載>

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

© 2018, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インテル、第1四半期売上高予想振るわず 需要低迷や

ビジネス

米ビザの10─12月期決算は増益、活発な年末消費で

ワールド

米、メキシコとカナダに25%の関税課す トランプ氏

ワールド

ガザ再建に10─15年、「何も残っていない」=米政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 3
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 4
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中