「貿易紛争がビジネスに影響」日本企業の4割に 日米FTAは賛否きっ抗
FTA交渉で心配なテーマについては「米国による輸入制限」への懸念が最も多く、35%となった。次いで「日本での米製品の輸入枠設定など」が21%だった。
企業の間ではトランプ大統領へのいら立ちが見られると同時に、日本政府の交渉能力への不安もくすぶっている。「貿易交渉を理由に同盟関係の見直しを迫るという論理を米国が振りかざせば、世界中の同盟国を不安に陥れる」(電機)、「自己主張ができない日本政府に対米交渉力能力はない。内向きに右往左往している」(機械)といった意見も寄せられている。
他方で、為替介入の透明性を求める「為替条項導入」を懸念するとの回答は18%にとどまった。農産物市場開放は12%、車の非関税障壁撤廃についても10%と、懸念する回答は少ない。
日本を巡る各国との通商協定のうち、日本経済に最も効果が期待できると思われている協定は「TPP11」との意見が58%を占め、最も多かった。「日米FTA」は11%、中国やアジア諸国が参加する「RCEP(東アジア地域包括的経済連携)」が9%、「日中韓FTA」が6%、「日欧EPA(経済連携協定)」は3%となった。企業は、多国間貿易協定にメリットを見出していることがうかがえる。
(中川泉 編集:石田仁志)
*23日の記事で、調査対象企業数を「400社」から「542社」に訂正します。