キューブリック風の神話にエロ描写を添えた怪作『聖なる鹿殺し』
2018年3月14日(水)14時45分
マーティンは最終的にスティーブンの家族全員を呪縛する。彼の求めた正義の裁きが実現したわけだが、なぜそうなったのか。集団催眠か、それとも遅ればせながら神が介入したのか。 映画はそんな疑問に答えてくれない。スティーブンが罪を犯したかどうかも曖昧なままだ。
しまいには映画全体が手の込んだゲームのように見えてくる。登場人物は彼らを導くルールもないまま、従順にゲーム盤の上を動き回るだけだ。
神話は世界を理解し、次世代に生きるすべを伝えようとする人々の欲求から生まれた。だがこの映画から観客が学べるのは、ランティモスの次作には用心したほうがいいということだけだ。
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© 2018, Slate
[2018年3月13日号掲載]
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