最新記事

スキャンダル

3分で分かる 森友文書改ざんの問題点と今後の展望

2018年3月15日(木)17時30分

●次に何が起きるか

安倍首相と麻生氏は、世論の怒りが収まるまでダメージを抑えようとするだろう。麻生氏の第1防衛線は、財務省で調査を徹底的に行うため大臣の座にとどまらなければならない、と主張することだ。

だが、与党・自由民主党の中でも、石破茂元幹事長や小泉進次郎筆頭副幹事長などから、官僚を非難するだけでは十分ではないとする意見が上がっている。

麻生氏を守り、安倍首相に影響が及ぶのを阻止するには二階俊博幹事長のような自民党幹部の対応が不可欠となる。同様に、連立政権を担う公明党の対応も極めて重要だ。

●麻生氏が辞任したらどうなるか

安倍首相にとって麻生氏辞任は政治的には大きな痛手となるが、政策への直接的影響はおそらく限定的とみられる。

麻生氏は安倍政権の安定に不可欠な存在であり、9月に控えた自民党総裁選挙で3期目を目指す安倍氏の鍵を握る。再選すれば、安倍氏は最も在任期間が長い首相となる道が開ける。

もし麻生氏が辞任すれば、その時点で、あるいは9月の総裁選前に安倍首相の後任を巡る派閥間の駆け引きがエスカレートするだろう。

●広義的には何を意味するか

一部の金融市場関係者は、超金融緩和策、財政出動、構造改革を柱とするアベノミクスへの影響を懸念している。石破氏のほか、岸田文雄前外相ら安倍首相の後任候補は、財政立て直しによって日本の膨張し続ける債務に対処する必要について語っている。

より大きな懸念は、今回のスキャンダルによって政治の不安定期が始まる可能性があることだ。安倍政権は6年目を迎えたが、これは日本では異例な長さで、それまで日本の指導者はころころ変わっていた。

日本はまた、北朝鮮によるミサイルと核の脅威という安全保障上の懸念にも直面している。貿易面では、トランプ米大統領の保護貿易主義政策に対処しなければならない。

安倍氏のトランプ大統領との親密な関係や、他の世界の指導者らとの交流は外交的にはプラスと見られており、指導者が変わることは日本にとって打撃となりかねない。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

Linda Sieg

[東京 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ

ワールド

トランプ政権、輸入缶ビールに25%関税賦課 アルミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中