衛星画像で見つける金正恩「最大の弱点」とは
金正恩の時代になって収容所の実態把握は困難になってしまった KCNA-REUTERS
<衛星画像の解析によって政治犯収容所の実態が解明できれば、金正恩体制にとって最大の弱点となる>
米国の情報機関である国家地理情報局(NGA)が、衛星写真や航空写真を非政府組織(NGO)や研究機関に提供する予定だと、米国の外交専門誌フォーリン・ポリシーが21日に伝えた。
NGAの軍事アナリストであるクリス・ラスムセンは同誌とのインタビューで、NGOとの最初の協力は、北朝鮮に焦点を当てたものになると述べている。
これまで北朝鮮における人権侵害を追及するNGOは、商業衛星写真や脱北者の証言などに基づき、政治犯収容所に代表される北朝鮮の人権蹂躙の証拠を見つけてきた。
<参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」...残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認>
しかし、商業衛星は軍事衛星に比べれば解像度で劣るし、購入費用も非常に高くついていた。NGAが今後、どこまで鮮明な画像を提供するかはわからないが、コスト面だけでもNGOにとっては大きな助けとなろう。
とくに期待されるのは、政治犯収容所の実態解明である。
北朝鮮で「管理所」と呼ばれる政治犯収容所には以前、有期刑の囚人を収容する「革命化区域」と、無期刑の囚人が入れられる「完全統制区域」が存在していた。そのため、革命化区域から釈放され、脱北した人々の証言により収容所の実態が外部に知られることになったのだ。
しかし金正恩党委員長の時代になり、北朝鮮は革命化区域をなくし、収容所すべてを完全統制区域にしてしまった。これにより、収容所の実態把握が困難になってしまったのだ。
また政治犯収容所だけでなく、強制送還された脱北者らを収容する施設も、人権侵害の現場となっている。そこで行われていることは、被害者たちの証言に繰り返し触れながらも、日本の常識ではなかなか信じられないほど凄惨なものだ。