銃乱射を阻止するには教師も銃をもつべきだ?
学校が銃で武装すれば悲劇はなくなるのか?写真は17人を射殺したとして警察に拘束されたニコラス・クルス容疑者 WSVN.com/REUTERS
<フロリダの銃乱射事件後、悪いのは銃だとする意見と心の病のせいだとする意見が対立しているが、第3のトンデモ意見が飛び出した>
米東南部フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で生徒ら17人が死亡した銃乱射事件で、問題の根幹は今議論になっている銃規制でもメンタル対策でもなく、「犯人の銃を圧倒するだけの火力が学校側になかった」ことだと、米FOXニュースの司法アナリストで元判事のアンドリュー・ナポリターノが言った。教師も銃で武装すべきというのが彼の持論だ。
ナポリターノは銃乱射事件の翌2月15日、FOXニュースのトーク番組「フォックス・アンド・フレンズ」に出演した際、学校には銃の備えがなさすぎると言った。
「イスラエル式の訓練をすればいい」と、ナポリターノは言った。「文化が異なることは分かってはいるが、イスラエルでは全ての教師がイスラエル国防軍(IDF)に従軍した経験を持つ。兵役を免除される特定の宗派を除けば、イスラエルでは国民皆兵が原則だ」
ナポリターノはこう続けた。「教師は兵役で銃の訓練を受ける。その中から厳選された教師たちは目立たないように武装し、さらなる訓練を受ける。銃を所持するだけではダメで、彼らは毎週訓練を受けることになる」
銃乱射事件が繰り返されるのは、銃が悪いのではなく犯人の心の病の問題だとしたドナルド・トランプ米大統領の主張もナポリターノは一蹴した。
娘を殺された母の叫びも空しく
「心の病のせいにするのは問題のすり替えだ」と、ナポリターノは言った。「本当の問題は、殺人犯の凶行を阻止するのに十分な銃が学校側になかったことだ。異常者は何かしら殺人の手段を見つけてしまうものだ」
ナポリターノの発言より前、事件で犠牲になった女子生徒の母親が、泣き叫びながら銃規制の強化をトランプに訴えた。
米CNNが放送した2月15日の生中継で、14歳の娘が殺害されたロリ・アルハデフはトランプに嘆願した。「この2時間で、まだ14歳だった娘の葬儀と埋葬の手配をした。トランプ大統領、お願いだから何とかして。行動して。今すぐ行動が必要だ。今、子どもたちには安全が必要だ」
だがトランプは事件についての演説で銃規制に一切触れなかった。トランプと並んで銃規制に反対するロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)から巨額の政治献金を受け取っているフロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員(共和党)も、事件は銃のせいではないと言った。
ナポリターノは銃規制の反対派に加勢して、アメリカには3億丁の銃があるのに学校が武装していなかったことの方が問題だ、と主張。銃を持たない教師と生徒が「格好の標的」になった、とした。