対アフリカ援助外交は中国スパイの隠れみの?
「一帯一路」推進の陰で
とはいえ、中国が新本部ビルの家具に至るまでを提供し、それをスパイ行為に利用したというのは世間体が悪い。中国は「一帯一路」構想の名の下にユーラシア大陸のあらゆる建設プロジェクトに対する支援拡大を狙っているだけに、なおさらだ。
今回の報道が事実なら、不正アクセスの標的はAUだけにとどまらない可能性もある。AU本部以外にも中国はアフリカで数多くの庁舎建設に携わってきた。最近では、エジプト新首都における中央ビジネスエリア建設プロジェクトの総合請負契約はもちろん、ジンバブエとコンゴ共和国の議事堂の建設・出資契約にも調印。マラウイ、セーシェル、ギニアビサウ、レソトの議事堂や、シエラレオネの議事堂の改築など、既に完了したプロジェクトも多い。
米調査会社デロイトが発表した「アフリカ建築トレンドレポート2017」によれば、中国はアフリカの建築プロジェクトへの出資では15.5%と国別トップ。建設では現地企業を上回る85件のプロジェクトを手掛け、2位のイタリア(17件)を大きく引き離している。特に東アフリカではプロジェクトの「4件に1件」に出資し、「全プロジェクトの半数以上」を建設している。
だが今回の報道で露呈したように、中国からの「贈り物」には代償が隠されている。しかも、それはアフリカだけに限らない。
<本誌2018年2月13日号掲載>
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From thediplomat.com