米株暴落、なぜここまで深刻な下げになったかわからない
株価は先週から下がり始め、2月2日に急落した。これは米労働省が1月の米雇用統計を発表し、賃金の伸び率が市場予想を上回ったことへの反応だった。
投資家に警戒感が広がったのは、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレの加速と景気過熱を抑えるため、利上げペースを上げる可能性が高まったためだった。
利上げで低金利での資金調達が困難になれば、企業業績に影響を与え、株価を押し下げる。つまり株価急落の原因は、米経済が好調すぎて、2月5日に就任したばかりのFRBのジェローム・パウエル新議長が景気過熱を抑えるために金利を引き上げることを投資家が懸念したからだ。
説明が吹き飛んだ月曜の午後
5日朝に米株価が下落して取引が始まった時点では、市場はいつものように神経質なだけに見えた。だが午後に株価が大幅続落したことで、経済データに基づく合理的な説明は全て吹き飛んでしまった。
CNBCはそれを「奇怪な半狂乱」と呼んだ。通常の取引にコンピューター売買が拍車をかけた、と言うトレーダーもいた。この急落が明日、明後日の市場にどう影響するかを知ることさえ難しい。来月や来年、となればなおさらだ。
さらに言えば、2日に株価が下落を始めたこととFRBの利上げ観測は無関係、という見方さえある。英紙フィナンシャル・タイムズはこう書いた。
JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デービッド・ケリーは、金利上昇でインフレへの懸念が広がったために株価が暴落した、という「多数派の説明」に反論した。
「この2年間、好調を続けた債券市場と株式市場にやっと調整が入った、と説明する方が、多少大雑把だが当たっている」
株価は上下するものだ。今回の急落で、長期にわたる株価上昇は終わったのかもしれない。あるいは一時的な下落かもしれない。
使い古された言い方だが、株価の乱高下で一喜一憂しないためには、数年は必要のない資金で投資するべき、ということだ。今回の暴落の真相もいずれ明らかになるだろう。
(翻訳:河原里香)
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