ジャーナリスト堀潤氏が『猿の惑星』から読み取った「民主主義の危機への警鐘」とは
──『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』4K UHD/Blu-ray/DVD発売記念インタビュー
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ジャーナリスト堀潤氏
「猿が人間を支配する」という衝撃的な世界観と、作品に込められた社会風刺が広く支持されてきた映画『猿の惑星』シリーズ。モーション・キャプチャー技術によりエイプたちを圧倒的なリアリティーで描くリブート・シリーズの第3作『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の4K UHD、Blu-ray、DVDの各パッケージが2月14日に発売される。今回、ジャーナリストの堀潤氏にインタビューを行い、シリーズの魅力や、最新作から読み取ったメッセージについてうかがった。
人類の運命を象徴するラストシーンに衝撃を受けた
──まず、堀潤さんが『猿の惑星』シリーズに対してどういった印象を持っていらっしゃるかというところからうかがいたいのですが、堀さんは1977年生まれなので、最初のシリーズは後からご覧になった世代ですね。
堀潤氏(以下敬称略):もともとSF映画が大好きで、『2001年宇宙の旅』や『スター・ウォーズ』シリーズなども観ていました。そうした過去の良作をおさえるなか、『猿の惑星』シリーズはやはり外せないぞということで、ティム・バートンがリメイクした『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001年)が公開される前に過去作を通して鑑賞したという流れですね。
──オリジナルの『猿の惑星』(1968年)の有名なラストシーンについてはいかがですか。
堀:恐ろしい衝撃でしたし、文明のもろさも感じました。一方で、大いに共感できる部分もあったんです。というのも77年生まれの僕らの世代はちょうど就職氷河期のまっただ中で、1999年に世界が滅亡するというノストラダムスの大予言があり、オウム真理教の地下鉄サリン事件も起き、社会が混沌としていて、日本経済も混乱していた。そんな時代で、終末思想を受け入れているようなところもあって、人類の文明が終わっていく筋書きをどちらかというと少し期待しながら見ていたんですよね。地球が滅んでいく姿を目の当たりにして、滅ぼしたのは誰かというと、私たち人間じゃないか。それを突きつけられるストーリー展開に共鳴したんです。
ただ実際には1999年に地球は滅亡しなかったし、2001年にはテロが起きて、私は報道の現場に携わるようになりました。9.11後の世界は、テロの正義と悪に分けられない、そんなに簡単に判断できないということを思い知らされてきました。そんなわけで、価値観を揺さぶられてきた世代としては、『猿の惑星』が描く世界観はとても共感できます。人類の運命を象徴する、自由の女神像が埋もれていたシーンの絶望感を、やっぱりそうなんだと素直に受け止めました。