米国シェール革命が塗り替える「石油勢力図」 減産OPECの間隙つく
8日発表された中国の公式統計によれば、米国からのエネルギー輸入増大に伴い、中国の1月対米貿易黒字は、前月の255億5000万ドルから、1月には218億9500万ドルに縮小した。
米国の中国向けエネルギー輸出額は、OPEC諸国による同月の中国向け石油輸出額が97億ドルだったことに比べれば、依然としてかなり小さい。だが米国産石油はすでにサウジアラビアやロシアと言った国々が支配していた市場に食い込みつつあり、今後の競争ははるかに激しくなる様相をみせている。
「米国産原油は、われわれの供給基盤を補完している」と、中国国有石油大手、中国石油化工(シノペック)の精製部門に所属するマネジャーは匿名で語った。同マネジャーによれば、シノペックは今年、米国産原油の発注を増やす見込みだという。
米国の輸出入は逆転
中国の原油輸入量は1月、過去最高の957万バレル/日に達したことが、8日に発表された公式統計で明らかになった。
一方、米国の輸入量は、2005年に記録した最高1250万バレル/日から大きく下落し、400万バレル/日を下回っている。
12月と1月の平均量をベースに計算すると、米国産の石油とガスの中国向け輸出額は、年間約100億ドルに相当することになる。日本、韓国、台湾向けを合わせると、この数字は2倍に膨れ上がる。
インフラ面での制約さえなければ、米国からの輸出はさらに拡大するだろう。だが、米国には、いわゆるVLCC級の巨大タンカーに対応する港湾が1カ所もない。
この問題に対処するため、メキシコ湾で最大級の施設であるルイジアナ・オフショア・オイルポート・サービス(LOOP)では、近い将来VLCC級に対応できるよう拡張を進めている。
原油価格への影響
中国にとって米国産石油の主な魅力は、その価格だ。シェール開発ブームのおかげで、米国産石油は他の石油に比べて低価格になっているからだ。
今のところ、米国産の原油価格は1バレルあたり約60ドル50セントで、他国産原油のほとんどが価格設定基準としているブレント原油よりも1バレルあたり約4ドル程度安い。