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貿易カナダが米国をWTOに提訴 幅広い分野で制裁関税が200件近くも
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1月10日、カナダ政府は、米国が幅広い分野で制裁関税を発動している行為を不服として世界貿易機関(WTO)に提訴した。写真はワシントンで2016年3月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
カナダ政府は、米国が幅広い分野で制裁関税を発動している行為を不服として世界貿易機関(WTO)に提訴した。WTOが10日発表した。
カナダ側が問題として挙げた米国による反ダンピング関税などの事例は200件近くに及び、そのほとんどは中国、インド、ブラジル、欧州連合(EU)といった他の貿易相手も関係している。輸出管理をはじめとする米国の貿易政策の不適切さにも詳しく言及した。
さらにカナダは、米国の生産者がWTOが定めた反ダンピングや補助金・相殺関税措置に関するものなどさまざまな協定に違反したと主張している。
反ダンピング税と相殺関税は、米国にとって不当な安値や補助金付きの輸入品を制限する主要措置だが、「米国第一主義」を掲げるトランプ政権になって米国の貿易政策に占めるこれらの措置の重要性はかつてないほど高まった。一方、ここ何年かは米国のダンピング算定方法は批判を浴びており、一連のWTOにおける係争ではそうした方法はルール違反と認定されている。
ただ米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は「カナダのWTOに対する申し立ては、米国の貿易改善システムへの広範かつ軽率な攻撃だ。たとえカナダがこの根拠のない主張を通せたとしても、一番に得をするのはカナダではなく他国になる。申し立てはカナダのためにならない」と反論し、中国を利する形になると示唆した。
WTOのルールでは米国とカナダにはまず60日の協議期間が与えられ、それでも解決しない場合、改めてカナダがWTOに裁定を要請することになる。
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