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米中関係米中通商戦争意図せず 中国ハイテク製品は直接的脅威=米商務長官
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1月24日、米国のロス商務長官は、公平な国際通商を目指しており、通商戦争を始めようとしているわけではないと述べた。写真はダボスで同日撮影(2018年 ロイター/Denis Balibouse)
ロス米商務長官は24日、米国は公平な国際通商を目指しており、通商戦争を始める意図はないとの立場を示すとともに、中国製ハイテク製品は「直接的脅威」と批判し、中国の保護主義をけん制した。
トランプ米大統領は前日、洗濯機と太陽光パネルに輸入関税をかける大統領令に署名し、政権発足後初めての米通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)を発動させた。今後、鉄鋼やアルミニウムのほか、知的財産権などを巡っても何らかの措置を打ち出す可能性がある。
ロス長官は世界経済フォーラム年次総会(WEF、ダボス会議)で、「中国はこのところ、自由貿易を巡るレトリックに長けているほか、極めて保護主義的な行動ではさらに長じている」と批判。「次なる課題」は、中国が2025年計画で掲げる「ほぼすべての新テクノロジーで」大きな市場シェアを獲得するという目標だと指摘した。
「これは直接的脅威となる。技術移転や知的財産権の軽視、産業スパイ活動など悪質な行為によってもたらされている直接的脅威だ。伝統的産業の過剰生産能力だけが問題ではない」と強調した。
そのうえで、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が中国の知的財産権侵害に関する調査に懸命に取り組んでいるが、報告書を出すまでにはさらなる時間を要すると明らかにした。
長官はまた、米国は通商戦争を始めようとはしていないとの立場を表明。米国はあまりにも長い間、改革を求めることなく国際通商システムを支持してきたとしたとしながらも、世界貿易には仲裁機関が必要と指摘し、米国は世界貿易機関(WTO)に見切りをつけていないとの姿勢を示した。
韓国が洗濯機と太陽光パネルに対する米輸入関税についてWTOに提訴する方針を示していることについては、「(WTO)で有利な判断が下されたとしても、それが正しい判断というわけではない」との見方を示した。
WTOのアゼベド事務局長はダボス会議で、トランプ政権の通商措置に関し、「中国は米国の主張に対し、通商ルールに違反していないとして反発するだろう」と述べた。
中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏は先に、通商戦争の可能性を恐れていると述べた。「通商戦争を始めることは簡単だが、それが引き起こす痛みを解消するには30年程度要する」と強調した。
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