米中貿易戦争に発展か 習近平がトランプの「炎と怒り」軽視?
貿易戦争からの回復力
中国で活動する米企業は長い間、外国のテクノロジーを吸収して取って代わろうと意図していると思われる中国政府の政策にいら立ちを覚えてきた。
「問題は、誰が知財を支配し、それをどのように保護するかだ」と、ブッシュ政権で財務次官(国際問題担当)を務め、現在は国際金融協会(IIF)を率いるティム・アダムズ氏は指摘する。
「それに対応するためにメスをどう使うか、また、ハンマーではなくメスを使うことで、実際に行動を変えられるかが問題だ」と同氏は語った。
中国はまず、世界貿易機関(WTO)のルールに違反していないか検討した上で報復に出ると、アダムズ氏は予測。ボーイングの代わりにエアバスのような欧州企業から輸入するというように、米企業に対して次第に圧力を強めていくことが考えられるという。
一方、中国の関税データによると、2017年の対米貿易黒字は2758億1000万ドル(約30.5兆円)に上り、史上最高を記録している。
中国に対して報復措置を取る可能性が高まる中、米企業を買収しようとする中国企業に対して、国家安全保障上の懸念から対策を見直そうとする超党派の動きがワシントンで拡大している。こうした買収の動きの対象となっている米企業は、中国市場から締め出されている業界のものが多い。
だが中国では、米国のそのような努力は裏目に出ることは必至、との見方が大勢を占めている。
「政治的に見て、トランプ政権は中国との経済・貿易関係が緊張することには耐えられない。貿易戦争となれば、中国の方が回復力があるからだ」と、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は14日伝えている。
中国商務省は米財界代表団や大きな貿易摩擦のリスクについてはコメントしなかったが、中国は自衛のために必要なあらゆる措置を講じるとしている。
妥協せず
たとえトランプ政権が米テクノロジー部門の一部が予想しているように「限定的な関税」を課すとしても、モノとサービスの年間貿易額6000億ドル超のうち、わずか数パーセンテージ・ポイントにすぎないだろうと、中国の専門家は指摘している。
だが、輸出に依存する中国の地方政府にとって、米国の脅しは軽視できない問題だ。浙江省のある当局者はロイターに対し、トランプ政権が措置を講じる可能性について懸念を示した。