韓国、生活の質の向上させるための最低賃金の引き上げが失業を招く
2018年1月16日(火)19時00分
賃金上昇分を価格に転嫁、便乗値上げも
物価上昇も新たな課題だ。理美容店や中規模の飲食店など、オートメーション化が容易ではない店が賃金上昇分を価格に転嫁しており、便乗値上げも現れはじめている。6000ウォンから7000ウォンのオフィス街のランチは1000ウォン単位で値上がりしているのだ。
ソウル都心の飲食店街を視察したキム・ドンヨン経済副首相兼企画財政部長官は、経営が難しくても従業員を解雇すべきでないと述べ、政府は最低賃金の引き上げで困窮する零細業者を支援する補助金として3兆ウォンを編成したが、補助金目当てで会社の規模を意図的に小さくする事業者や基本給を最低賃金レベルに引き上げて賞与を引き下げるケースも出はじめている。
文在寅大統領は、最低賃金の引き上げを押し進める意向を明らかにしているが、2020年に最低賃金が時給1万ウォン(約1060円)になると、企業が負担する人件費は81兆ウォン(約8兆6000億円)増加する。
従業員の解雇や採用見合わせに加えて、小規模事業者などが廃業に追い込まれることが予想される。生活の質を向上させるための最低賃金の引き上げが、物価上昇や働き口そのものを失わせる結果になりかねない懸念が広がっている。