最新記事

映画

『スター・ウォーズ』最新作は、映画界を新たな銀河に導く最高傑作

2017年12月28日(木)10時20分
サム・アダムズ

magc171228-sw02.jpg

© 2017 LUCASFILM LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

光と闇の間で揺れ動く心

その芸術的なまでに美しい戦闘シーンや、印象的な殺陣(たて)は、ルーカスが『スター・ウォーズ』のアイデアの基にしたという黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(1958年)や、スローモーションによる銃撃戦が印象的だったサム・ペキンパー監督の『ワイルドバンチ』(1969年)を彷彿させる。

シリーズ前作『フォースの覚醒』は、ファンを喜ばせる仕掛けを巧みに盛り込み、新たなキャラクターを加えつつ、オリジナル3部作に限りなく忠実に寄り添っていた。ジョンソンはその両方をやりつつ、映画界全体にとってさえ純粋に新しいと思わせる要素を『最後のジェダイ』に盛り込んだ。

フォースの力が覚醒しつつあるレイ(デイジー・リドリー)は、世捨て人のようになったジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)を発見。銀河を脅かすファースト・オーダーとの戦いに力を貸してほしいと頼むが、過去の失敗に苦しむルークは首を縦に振らない。

亡き暗黒卿ダース・ベイダーを崇拝するカイロ・レン(アダム・ドライバー)は、ファースト・オーダーの最高指揮者スノークに認められようとハックス将軍と競い合うが、その心は光と闇の間で揺れ動く。

レジスタンスでは、血気盛んなパイロットのポー・ダメロンがファースト・オーダーを攻撃すべきだと主張して、レイア将軍やホルド中将と衝突する。元ストームトルーパーのフィンは整備士ローズと出会い、ファースト・オーダーの追跡機能を無効化できる人物を探す旅に出る。

さまざまなストーリーが同時進行するため、中盤あたりで少々疲れてしまう観客もいるかもしれない。だがそれもやがて撮影監督スティーブ・イェドリンによる目の覚めるような(時にエレガントでさえある)映像に圧倒されて、吹き飛んでしまうだろう。

レイアを演じたキャリー・フィッシャーは、本作の撮影終了後に死去した。映画製作は編集段階にあったから、ジョンソンはレイアを急死させることもできたはずだが、当初のシナリオどおりの展開を維持した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中