「頑固じいちゃん・ばあちゃん」は長生き? イタリアの長寿村調査で分かったこと
イタリアの長寿村で長生きの秘訣を調査 (写真はイメージ)Josef Mohyla-iStock
人口の3.3%が100歳以上という地域
長生きするには、食べ物に気をつけて適度な運動を心がけて......と思うところだが、南イタリアにある高齢者の多い地域を医師らのチームが調査したところ、長生きの秘訣は意外なところにあることが分かった。
イタリア南部のチレントという地域は、高齢者が多いことで知られている。2016年9月の英紙テレグラフは当時のデータで、人口6万人に対し100歳以上は2000人ほどとしていた。高齢の秘訣を探るために、これまで何度も研究の対象になってきたようだ。
今回の調査を行なったのは、イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学と米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者たち。チレントにある9つの村に在住の91〜101歳のお年寄り29人と、その家族51人(50〜75歳)が対象だ。結果は、12日にインターナショナル・サイコジェリアトリクス(国際老年精神医療)に発表された。
長生きの鍵は「頑固」、「楽観的」、「勤勉」など
これまで行われてきた高齢者の研究のほとんどが、遺伝学上の側面から長生きを捉えたものであり、精神や性格について取り上げたものは少ない、と指摘するのは、調査チームの1人、ディリップ・V・ジェステ医師だ。この調査では、身体的・精神的な健康を定量的な尺度で測ると同時に、個々人の人生についての聞き取りも行った。
その結果、身体的には当然ながら50〜75歳の家族の方が健康だったが、精神的には91〜101歳の人たちの方がより健康だったことが分かった。また、91〜101歳の参加者たちの自信と意思決定能力がかなり高いことも示唆された。ジェステ医師は、世間的に考えられている、年を重ねると、身体的な健康は衰えていくものの心の健やかさは高まり知識は増える、という概念がその通りであることを示す結果だった、と話している。
そして分かったのは、この人たちの心が健康的な理由は、主に「頑固」、「楽観的」、「家族愛」、「地元愛」、「勤勉」、「宗教」が鍵のようだということだ。
主執筆者のアナ・スケルツォ氏によると、91〜101歳のグループは支配的で頑固で、自分が物事をコントロールしたいと考える傾向にあった。こうした特徴は、「自分の信念に正直」で「他人にどう思われても構わない」と考えるということなので、長生きするのに望ましいとスケルツォ氏は述べている。
ただしこの「物事をコントロールしたがる傾向」は、周囲の変化に適応したり、物事を楽観的に捉えて困難を乗り越えたりといった気質ときちんとバランスが取れていることが大切だという。また、この村の高齢者のほとんどは、家事をしたり農作業をしたりと仕事を続けており、こうした仕事に対する勤勉さも生きる目的となって長寿に寄与しているようだ。